2004 Fiscal Year Annual Research Report
能・狂言の諸作品及び間狂言の成立に関する考察-他の文学作品も含む影響関係を中心に
Project/Area Number |
02J00784
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川島 朋子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 能 / 謡曲 / 狂言 / 室町物語 |
Research Abstract |
能、狂言、室町物語に関する研究を中心に行ってきた。 学術論文「室町物語『玉藻前』の展開-能<殺生石>との関係を中心に-」(『国語国文』第73巻第8号)においては、これまで行ってきた、能<殺生石>と室町物語『玉藻前』との関係に関する研究をまとめた。従来の『玉藻前』が先行し、そこから能<殺生石>が作られたとする一面的な説に対し、室町物語が能に題材を提供し、さらに能が室町物語に影響を与えて新たな部分を付加することで物語の一系統を形成したとする説を明らかにした。同時代に作られた室町物語と能との相互関係を考える上での新たな可能性を提示することができた。 また「明治末期における京都の町と芸能-日記に見える能楽と茶の記事を中心に-」(藝能史研究会1月例会口頭発表(2005年1月14日))では、京都の商家に伝わる明治時代の日記を題材として、そこに見える能楽と茶に関する記事を取り上げて、当時の京都における芸能のあり方について考察した。日記の記事からは、商人と当時の能楽師との関係や、京都において行われた能・狂言に関する催しを知ることができた。まだあまり明らかでない、明治期の能楽界の事情の一端を明らかにする。また引き続き、間狂言台本や謡本などの調査を行った。特に京都大学文学部蔵『大蔵流惣間語』については、今後とも更に考察を続けるつもりである。また大蔵虎明の狂言伝書『わらんべ草』について諸本を閲覧した結果、それぞれの伝本関係についてほぼ明らかにすることができた。
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Research Products
(1 results)