2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00841
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永井 佳代 京都大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | エスキモー・アリュート語族 / シベリア・ユピック語 / 形態論 |
Research Abstract |
これまでアメリカ合衆国・アラスカ州で行ってきたフィールドワークによって得たシベリア・ユピック語の音声資料を文字化し、映像資料とともにデータベース化をすすめ、研究の基礎となる資料を整理しつつある。 この資料に基づき、形態論にかかわる分析を進め、以下のことが明らかになった。 1.シベリア・ユピック語は従属法において、同系のエスキモー諸語には見られないスイッチ・レファレンスの体系を示す。 2.スイッチ・レファレンスのマーカーには-ngu, -uma, -tesの3種類がみられるが、その使い分けにはアスペクトの違いが見られる。-nguが無標のスイッチ・レファレンス標識である。 3.-nguという接尾辞はこれまでコピュラとしての機能しか記述されていなかったが、スイッチ・レファレンス標識として機能する接尾辞-nguの存在が明らかになった。 これらの明らかになった点は論文として投稿の準備を進めている。 このほか、これまで明らかになっている文法事項を現地協力者と共著で文法概説として近々出版の予定である。(現在編集作業中)。また、消滅の危機に瀕した言語としてのシベリア・ユピック語の現状と問題点については国立民族博物館研究報告別冊「消滅の危機に瀕した人類言語の現状と課題」に論文が掲載される予定である。(現在印刷中)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 永井佳代: "シベリア・ユピック語の人称の屈折を示す指示代名詞について"津曲敏郎編『環北太平洋の言語』「環太平洋の<消滅に瀕した言語>にかんする緊急調査研究」報告書 大阪学院大学. 第10号(印刷中). (2003)
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[Publications] 永井佳代: "シベリア・ユピック語の現状と問題点"崎山 理編『国立民族博物館研究報告別冊』. 23(印刷中). (2003)
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[Publications] ヴェクター・ゴラ著, 永井佳代訳: "言語が生き残るとはどういうことか-小言語の(そう単純ではない)将来についての考察"宮岡伯人, 崎山 理編『消滅の危機に瀕した世界の言語』明石書店. 134-145 (2002)
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[Publications] Vera Oovi Kaneshiro, Kayo Nagai: "Survey of St. Lawrence Island Yupik Grammar"「環太平洋の<消滅に瀕した言語>にかんする緊急調査研究」報告書 大阪学院大学(編集作業中). 110