2002 Fiscal Year Annual Research Report
情報関連ハイテク産業の成長と都市経済の構造変化―シアトルを事例に―
Project/Area Number |
02J00847
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山縣 宏之 京都大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 情報関連ハイテク産業 / シアトル / 産業立地 / 都市労働市場 / コーディング / 知的所有権 / ソフト系企業 / 地域産業連関 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、3ヶ年の研究計画の出発点として、(1)情報関連ハイテク産業に関わる内外の先行研究を整理すること、(2)コンピューターソフトウェア産業の労働過程の特徴とそれを反映したシアトル労働市場の特性分析、(3)情報関連ハイテク産業と地域内産業の連関を分析することであった。このうち、(1)に相当する部分については、「1990年代におけるアメリカ合衆国・ソフト系IT産業の立地動向-先行研究の整理および州別分布から見る概観-」としてすでに論文化している。論文では、欧米の経済地理学、地域経済論、都市経済論、都市社会学の議論を広く検討し、先行研究が、産業集積論・ハイテク産業振興政策の領域に集中していることを述べ、さらに全米の情報関連ハイテク産業の立地動向も分析した。(2)(3)に相当する部分については、本年度9月から12月にかけて米国シアトルに出張し関連資料を収集したほか、調査表の郵送回収(81企業)、インタビュー(18企業)によって貴重な一次データを得、さらに現地商工会議所および業界団体の調査担当者、ワシントン大学の専門研究者(経済地理学W.Beyers教授他)と議論を行った。調査からは、情報関連ハイテク産業にとって良好な自然社会環境が都市に存在していることが重要であり、優秀な教育研究機関の存在とともに質の高い都市労働市場を形成する条件となっていること、さらにシアトルのソフト系企業が、知的資産を守るためにコーディング等の下位開発工程も外注化していないなど、わが国とは大きく異なる情報系企業の地域産業連関の特徴をつかむことが出来た。この調査の一部については論文原稿としてとりまとめ、わが国の経済地理学、アメリカ経済論の専門家に事前査読を依頼中である。このほかのデータについては、平成15年度の調査でさらにデータを補強し、内外の学会で公表する予定である。
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Research Products
(1 results)