2002 Fiscal Year Annual Research Report
相関の強い電子系における多体効果及び超伝導機構の理論的研究
Project/Area Number |
02J00921
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
重城 貴信 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手
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Keywords | 異方的超伝導体 / 磁場侵入長 / マイスナー状態 / 磁束格子状態 |
Research Abstract |
電子間のクローン斥力の強い系での超伝導体を対象とした研究を行った。 これらの超伝導では、超伝導ギャップがフェルミ面上で一様に聞かずに、ノードと呼ばれる超伝導ギャップがゼロになる点や線を持つ。このことは超伝導状態での物理量に反映され、温度に対し中的な振舞いをもたらす。これらの実験は超伝導の発現機構を考える上で重要である。この温度依存性の他に外場依存性の理論を提唱されているが、本研究では、その基礎となる理論を検証し、正しい理論を構築した。 YipとSauls('92)やvolovik('93)らによって、異方的超伝導体では、外場に対する応答が特徴的な振舞いをすることが予言された。これらの理論に基づくとノードの存在ばかりでなく、ノードの位置を決めることができるので、多くの研究がなされてきたが、本研究では、上記の理論に基づいて計算するのではなく、この理論の基礎を問い、誤りであることを見いだした。 まず非線形マイスナー効果の理論を構築した。この理論では、おもに磁場侵入長の磁場変化を見る。YipとSaulsは超伝導電流のベクトルポテンシャルに対する応答の非線形項が、非解析的な関数になることを予言した。 彼らの理論では外場の非局所性は無視されていたが、非局所性を取り入れて摂動展開を行うと、摂動の各次数は収束し、非解析的な応答は現れないことが示された。よってノードのある系でも、磁場侵入長の補正項は、磁場の二乗に比例し、巾の大きさではノードの存在を証明することはできない。またこれまでの理論では常磁性項のみを計算していたので、ゲージ不変な理論になっていなかった。本研究ではゲージ不変な理論を導いたが、これにより、一般的な反磁性項が効くために、磁場のかける方向による角度依存性は、これまでの理論と異なりノードの位置を単純には決めることができないことが示された。 次に磁束格子状態の理論に取り組んだが、この問題においても、非局所性によりエネルギースペクトルのシフトは存在せず、ゼロエネルギーには状態密度が誘起されないことが示された。
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Research Products
(1 results)