2003 Fiscal Year Annual Research Report
FtsHプロテアーゼによる膜蛋白質基質の認識、分解の開始および方向性決定の機構
Project/Area Number |
02J00938
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 志信 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | FtsH / HflKC / SecY / protease / membrane protein / ATPase / Dislocation / proteolysis |
Research Abstract |
大腸菌FtsHは、細胞質膜に局在する亜鉛依存性プロテアーゼであり、また、AAA ATPaseファミリーに属するATP依存性プロテアーゼである。いくつかの短寿命可溶性蛋白質を分解することで、熱ショックや脂質合成系の制御に関与する一方、異常膜蛋白質を分解、除去することで、膜の品質管理に寄与する。これまで、FtsHの膜蛋白質分解の分子機構に着目し、その分解が膜蛋白質基質のN末端からもC末端からも開始され、プロセッシブに、分子全体に及ぶことを見いだした。すなわち、分解が双方向に進行することを示してきた。また、分解開始には、基質の末端領域が十分な長さ細胞質側に露出していることが重要であり、アミノ酸配列の特異性は低いことを見いだした。 FtsHは、HflK、HflCと呼ばれる1回膜貫通蛋白質と複合体を形成することで、巨大なFtsHホロ酵素と呼ばれるユニットを形成しており、HflKCはFtsHの制御サブユニットであることが示唆されていた。しかし、その真の役割は不明であったため、HflKCの遺伝学的解析を行った。FtsHによる膜蛋白質分解を阻害するようなHflKC変異体を新たに10個単離することに成功したため、それらの変異体のマッピングおよび、characterizationを行った。マッピングの結果、いくつかの変異体は、互いに近い場所に集中していることが分かった。すべての変異体は、膜蛋白質分解にのみ影響を与え、可溶性基質の分解は阻害しなかったことから、膜蛋白質のFtsHへのターゲティングを阻害している可能性が考えられる。したがって、変異部位は、膜蛋白質基質がFtsHへアクセスする経路に近接しているのかも知れない。
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Research Products
(1 results)