2004 Fiscal Year Annual Research Report
有限群の作用付き曲線及びある種の被覆のモジュライの研究とその応用
Project/Area Number |
02J00948
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山木 壱彦 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 射影多様体 / 基本群 / グラフ / 樹木 / 代数群 / 再帰的層 |
Research Abstract |
よく知られているように,単連結な位相空間に群が離散的かつ自由に作用しているとき,その群は商空間の基本群と同型である.また,位相空間が二つの然るべき部分空間の和空間ならば,もとの空間の基本群は部分空間の基本群のアマルガム和で表される.つまり,この状況下では,位相空間を通して群の構造ををその部分群を用いて記述できる.さらに,セールは,彼の著書の中で,作用する位相空間が樹木と呼ばれる単連結なグラフの場合に,組合せ的な考察によって固定部分群が非自明な場合にも上記のようなことが言える,すなわち,商グラフの基本群と固定部分群を用いてもとの群が記述できることを明らかにした. 従って,群構造を知るには,それを樹木に作用させその商グラフと固定部分群を調べることが有効である.そこで,本研究員はこれに関し今年度は以下のような研究を行なった.非特異射影多様体Sとその豊富な因子をとり,その上の点を一つ固定する.構造層のその点での茎をRとおくと,階数2の再帰的R-加群の適当な同値類全体は,自然に樹木をなすことがわかる.一方,もとの多様体から豊富な因子を取り除いて得られるアフィン多様体の座標環をAとおくと,A上の一般線型群等Gがその樹木に作用し,その商グラフはS上の階数2の再帰的加群層やその初等変換とに密接な関連があることがわかる.つまり,射影多様体上の加群を調べることによってGの構造が原理的には記述できるのである.一般に,構造を実際に記述するのは易しくないが,射影空間の場合,豊富な因子として超平面をとれば計算可能である.また,現在考察中であるが,二次超曲面をとった場合にも何らかの形で記述できそうである.
|
Research Products
(1 results)