2002 Fiscal Year Annual Research Report
有限群の作用付き曲線及びある種の被覆のモジュライの研究とその応用
Project/Area Number |
02J00948
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山木 壱彦 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 代数曲線 / 有限群 / モジュライ / スムージング / フルビッツ |
Research Abstract |
本年度は,研究課題である有限群の作用付き曲線及びある種の被覆のモジュライの研究とその応用を扱った.具体的には,考える有限群は位数2でそれによる商が射影直線になるような場合,すなわち超楕円曲線の場合を扱った.実際にこれについて得た結果を説明したい. 安定超楕円曲線のモジュライ空間には,ホッジ類やあるタイプごとに定まる境界類などの標準的に与えられる因子類が存在するが,標数が0の場合にはそれらの間にCornalba-Harrisの等式と呼ばれる関係式が存在することが知られている.それの証明では,適当な群作用を除いて,超楕円曲線は本質的には射影曲線上の幾つかの点の集合に対応させられることが効いていた.この関係式は,正標数であってもそれが2でなければ成立することまではわかっていた.しかし標数が2のときには,ワイルドな分岐のせいでそのような対応はつかないので,わからなかった.そこで,私はこれを標数が2のときにも成立することを証明し,論文作成を行った.証明方法は標数が0の場合と同じ方法はとれないが,有理整数環上で安定超楕円曲線のモジュライを考察し標数0での結果を標数が2の場合に還元することによって証明した.(ここで重要なのは,Maugeaisによる,安定超楕円曲線は等標数でのスムージングが可能であるという結果であった.)この結果の簡単な帰結として,例えば完備な曲線上の滑らかな超楕円曲線の族は必ず局所自明になってしまうことがわかることを注意しておく.
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