2002 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄細胞間の分子認識に関わる遺伝子をもちいた種間交雑の制御
Project/Area Number |
02J00972
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 健太郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生殖隔離 / 種 / シロイヌナズナ / 雑種致死 / 種間交配 / 系統樹 / 近縁種 / マップベーストクローニング法 |
Research Abstract |
生殖隔離とは、有性生殖の何らかの段階で種間雑種の形成を阻害するもののことであり、種の違いの基礎だと考えられているが、細胞レベル・分子レベルでの実体はほとんど分かっていない。本研究では、モデル生物シロイヌナズナArabidopsis thalianaとその近縁種の間に見られる生殖隔離について研究を行っている。 1.シロイヌナズナ近縁種の採集 シロイヌナズナとの間に雑種が育ち、遺伝解析に有用なArabidopsis lyrata subsp. lyrataをアメリカで採集した。 2.種分化の初期過程としての、シロイヌナズナ地域系統間の生殖隔離 シロイヌナズナのヨーロッパのLer系統と、アフリカのCvi系統とを交配すると、雑種二代目で一定の割合で致死が出ることが分かった。これは、この2系統が種分化の初期過程にあることを意味する。マップベーストクローニング法により、雑種致死をもたらす遺伝子を単離する予定である。 3.種間交配での生殖隔離の細胞レベルでの観察 イヌカキネガラシSisymbrium orientaleをシロイヌナズナに交配すると、花粉管は自家受精の20%程度の効率で雌性配偶体に到達し、種子形成が開始された。種子は発芽できなかったので、この2種は、花粉管ガイダンス段階と、種子発生段階とで隔離されていることが分かった。マガリバナlberis amaraなど短角果を持つ種の花粉をシロイヌナズナに交配すると、花粉管の伸長が異常を示すことが分かった。 4.シロイヌナズナ近縁種の系統解析 シロイヌナズナ近縁種の分子系統樹を作成した。
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