2003 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄細胞間の分子認識に関わる遺伝子をもちいた種間交雑の制御
Project/Area Number |
02J00972
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 健太郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生殖隔離 / 種 / シロイヌナズナ / 雑種致死 / 種間交配 / 近縁種 / マップベーストクローニング法 / 系統樹 |
Research Abstract |
生殖隔離は、ダーウィンの「種の起源」以来の生物学の主要な課題であるが、分子・細胞レベルのメカニズムは未だに謎である。本研究では、シロイヌナズナ属をモデル系として生殖隔離の研究を行っている。 1.シロイヌナズナ近縁種の採集 これまでシロイヌナズナ属Arabidopsisには、9種14亜種が認められている。しかしながら、ヨーロッパのカルパチア山脈には、未記載の種が分布している可能性があった。そこで、本年はスロバキアのカルパチア山脈にて、シロイヌナズナ属の植物の採集を行った。9つの異なるタクソンと思われる植物の現地調査を行い、それぞれ種子を入手した。また、チェコの標本庫などにて、さらに5つの異なるタクソンの標本を観察し、入手した。予備的な研究では、これらは3種から8種程度の新種を含むことが示唆された。新種記載の準備を進めている。 2.シロイヌナズナ近縁種の系統化 これらの植物は、種分化を調べるためのモデル系として今後様々に活用できることが期待される。それぞれの系統について自家受精を繰り返して系統化をすすめている。これらの系統をもちいた種間交配により、生殖隔離の研究を行う予定である。 3.種分化の初期過程としての、シロイヌナズナ地域系統間の生殖隔離 シロイヌナズナのヨーロッパのLer系統と、アフリカのCvi系統とを交配すると、雑種二代目で一定の割合で致死が出ることが分かった。これは、この2系統が種分化の初期過程にあることを意味する。Cvi第5染色体のELC1a遺伝子(仮称)とLerの第一染色体のELC1b遺伝子(仮称)の両者がホモ接合になった際に致死となる。マップベーストクローニング法によって両遺伝子の単離を進めている。現在、両者とも1MBの範囲まで近づいている。
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