2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 美都 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生殖 / 精子形成 / 哺乳類 / 幹細胞 |
Research Abstract |
凍結保存した精子を用いた顕微授精は不妊治療で広く利用されている。しかし癌の化学治療などの副作用で不妊になった小児患者や、Sertoli only sysndromeの患者では精子自体がないので、精子の凍結保存は適用できない。我々は精子幹細胞を凍結保存し、これを精細管に移植することによる不妊治療を試みた。 1)凍結保存の精子幹細胞の活性に及ぼす効果 LacZを発現しているROSA26マウスの精巣からドナー細胞を回収し、通常の細胞の凍結保存に使われているのと同じ方法で凍結処理をした。細胞は5ヶ月間液体窒素の中で保存した。新鮮な細胞と凍結細胞のうち同数のviableな細胞をマウスの精細管に移植して、LacZ染色により青く染まるコロニー数にもとづいて幹細胞の数を判定した。興味深いことにコントロールの新鮮な細胞に対しコロニーの数は、Wマウスにて11.9倍、Busulfan処理マウスにて5.1倍と、凍結処理にて精子幹細胞の割合が増加しており、凍結処理には精子幹細胞を濃縮する効果があることが認められた。 2)凍結精子幹細胞をもちいた不妊症の治療 凍結した精子幹細胞を先天的不妊と後天的不妊のモデルであるWマウスとBusulfan処理マウスの精巣に移植し、妊性を回復できるかを試した。その結果、生後6-10日のWマウスをホストとしたものでは8匹中4匹で仔を作った。一方AdultのWマウスをホストとしたものでは9匹中1匹のみが仔を作り、Busulfan処理したadultのホストは7ヶ月間観察したが、仔を作らなかった。さらにadultのホストからも仔を得るため、顕微授精を試みたところ、62匹の仔が生まれた。 以上の結果から、凍結精子幹細胞の移植は不妊症の治療に有効である可能性が示唆された。また結果は、この方法が若年期の患者をホストとしたときは効率が良いが、成人の患者をホストとする場合は効率に限界があり顕微授精を必要とすることを示している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mito Kanatsu-Shinohara, et al.: "Allogeneic Offspring produced by male germline stem cell transplantation into infertile mouse testis"Biology of Reproduction. 68. 167-173 (2003)
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[Publications] Takashi Shinohara et al.: "Birth of offspring following transplantation of cryopreserved immature testicular pieces and in-vitro microinsemination"Human Reproduction. 17.12. 3039-3045 (2002)
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[Publications] Mito Kanotsu-Shinohara et al.: "Functional assessment of Self-renewal activity of male germline stem cells following cytotoxic damage and serial transplantation"Biology of Reproduction. (In press).