2004 Fiscal Year Annual Research Report
Novel PKCアイソザイムをターゲットとした新規抗腫瘍性化合物の分子設計
Project/Area Number |
02J01067
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 優 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | インドラクタムV / 発がんプロモーター / プロテインキナーゼC / ホルボールエステル / CH / π相互作用 / C1ドメイン |
Research Abstract |
発がんプロモーターの主要なターゲットはプロテインキナーゼC(PKC)である。近年、10種類以上に及ぶPKCアイソザイムのうち、novel PKC (PKCδ,ε,η)が発がんプロモーションに関与していることが明らかになりつつある。したがって、発がんプロモーションを解析するためには、novel PKCに選択的に結合する薬剤が必要である。本研究では、天然の発がんプロモーターであるインドラクタムV(ILV)をリードとしてnovel PKC選択的活性化剤を開発することを目的とした。 昨年度、1-hexyl-ILV(1)のピロール還元体(2)が高いnovel PKC選択性を示すことを明らかにした。そこで、ILVのピロール環の役割を明らかにするため、ILV誘導体とPKCδの発がんプロモーター結合部位(δ-C1B)とのドッキング計算を行なった。その結果、ピロール環はδ-C1BのPro-11の4位水素原子とCH/π相互作用をしていることが予想された。本相互作用の存在を確認するため、Pro-11の4位水素原子をフッ素原子に置換した変異ペプチドを合成したところ、変異ペプチドに対する1の結合活性は野生型に比べて約30倍低下したのに対し、2やピロール部分を除去したILV誘導体(BLV8)では結合活性はほとんど低下しなかった。本結果から、ILVのピロール部分はPro-11とCH/π相互作用していること、また2の高いnovel PKC選択性はCH/π相互作用の消失に一部起因している可能性が示唆された。そこで、1の9員環ラクタムを10員環にすることでピロール部分の空間的位置をずらした1-hexyl-ILV10(3)を設計したところ、3は高いnovel PKC結合選択性を示した。化合物3は、細胞系においてもnovel PKCを選択的に活性化することから、発がんプロモーションの解析ならびに制がん剤への応用が期待できる。
|
Research Products
(4 results)