2003 Fiscal Year Annual Research Report
Novel PKCアイソザイムをターゲットとした新規抗腫瘍性化合物の分子設計
Project/Area Number |
02J01067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 優 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | インドラクタムV / インドリンラクタムV / 発がんプロモーター / プロテインキナーゼC / C1ドメイン |
Research Abstract |
発がんプロモーターの主要なターゲットはプロテインキナーゼC (PKC)である。近年、10種類以上に及ぶPKCアイソザイムのうち、novel PKC (PKCδ,ε,η)が発がんプロモーションに関与していること、また各PKCアイソザイムには2つの発がんプロモーター結合部位(C1A, C1B)が存在し、それぞれ異なった役割を果たしていることが明らかになりつつある。したがって、発がんプロモーションの機構を解明するためには、novel PKCアイソザイムのそれぞれのC1ドメインに選択的に結合する薬剤が必要不可欠である。 最近本研究者は、各PKC C1ドメインの合成ペプチドを用いたスクリーニングにより、インドール環と9員環ラクタムを基本骨格とする発がんプロモーターであるインドラクタムV(ILV)がnovel PKC C1B選択的な薬剤の有力なリードになることを見いだした。ILVは、アミド結合のシス-トランス異性化に起因する2つの安定なコンホマーの混合物として存在する。そこで、ILVのインドール環をインドリン環に置換することによりそれぞれのコンホメーションに固定した(3R)-および(3S)-1-ヘキシルインドリンラクタムV(1,2)をデザイン合成した。NMRデータに基づいた分子モデリングにより、3R体(1)はシスアミド型に、3S体(2)はトランスアミド型にそれぞれ固定されていることを確認した。各PKCアイソザイムC1ドメインに対する結合試験の結果、2にILVよりも顕著に高いnovel PKC C1B選択性が認められた。化合物2が高い選択性を示す要因を調べるため、PKCδ C1Bと各化合物とのドッキングシミュレーションを行なったところ、シスアミド型のILVおよび1においてはアミド水素がPKCδ C1Bと水素結合を形成しているのに対し、トランスアミド型の2のアミド水素は水素結合を形成していないことが明らかとなった。本結果は、ILVのトランスアミド型誘導体がnovel PKC C1B選択的な薬剤になりうることを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yu Nakagawa: "Synthesis and Binding Selectivity of 7- and 15-Decylbenzolactone-V8 for the C1 Domains of Protein Kinase C Isozymes"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 13・8. 3015-3019 (2003)
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[Publications] Yu Nakagawa: "Synthesis, Conformation and PKC Isozyme Surrogate Binding of Indolinelactam-Vs, New Conformationally-Restricted Analogues of (-)-Indolactam-V"Tetrahedron. (in press).