2002 Fiscal Year Annual Research Report
典型金属イオンをルイス酸触媒とする完全水中反応の実現と次世代型不斉合成への展開
Project/Area Number |
02J01111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浦口 大輔 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 水 / ルイス酸 / 金属塩 / ガリウム / アリル化 |
Research Abstract |
水中で有効に作用するルイス酸を開発するため、カルボニル化合物のアリル化反応をモデル反応として様々な金属塩および有機金属化合物について探索を行った。その結果、13族の金属塩であるガリウムの有機金属化合物がアルデヒドのアリル化に働く可能性があることを見つけることができた。特に、塩化アリルマグネシウムと塩化ガリウムから調製したアリルガリウムジクロリドを水中でアルデヒドに作用させると、収率よくアリル化が進行することを見いだした。水溶性アルデヒドであるグリオキサールにアリルガリウムジクロリドを水中で作用させると、ジアリル化体が収率よく、かつ高い立体選択性で得られるという知見を得ている。さらに、カルボニル基のα-位にアルコキシ基をもつケトンに対してアリルガリウムジクロリドを水中で作用させると、高立体選択的にアリル化反応が進行することが明らかになった。 このように有機ガリウム化合物がルイス酸触媒として水中で有効に働く可能性があることが示された。今後は、本年度に得られたこのような予備的な知見に基づいて、種々のガリウム塩および有機ガリウム化合物の水中での二点配位型ルイス酸としての作用の可能性について探索する。これらガリウム反応剤の特性に基づいた水中での新しい反応を開発していく予定である。
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