2002 Fiscal Year Annual Research Report
健康リスク選好を考慮した食品安全基準の経済効率に関する実証的研究
Project/Area Number |
02J01125
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹下 広宣 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 食品安全 / 健康リスク / 食料消費 / 定量的評価 / 遺伝子組換え / 安全基準 |
Research Abstract |
3ヵ年の初年度であった14年度は、関連のある学会のシンポジウムや研究会に数多く出席し、国内外の食品安全政策とその根拠となる食品安全基準および基準の決定方法の把握につとめると同時に、安全基準による消費者の摂取する健康リスクの変化をとらえるための前段階の分析として、市場調査を実施し、国内独自の安全基準の策定による食生活の変動をとらえことを試みた。 具体的には安全政策と食生活の変化の関係を探るために、遺伝子組換え表示制度による消費者行動の変化について分析を行った。遺伝子組換え表示制度施行前と施行後における、豆腐価格とそのラベル表示データを用いてヘドニック価格分析を行い、消費者の遺伝子組換え食品に対するリスク評価を定量的にとらえたところ、次のことが明らかになった。 表示制度施行前から後で、消費者の遺伝子組換えのリスクに対する評価が下がっているという事実は確認できなかった。もし施行前当時には、消費者は、国産大豆や有機栽培大豆を非遺伝子組換え大豆と認識できていたと考えるのが妥当であるならば、施行前後で遺伝子組換え食品に対するリスク評価は変化がないと判断され、認識できていなかったとするのが妥当であるならば、施行前から後で、リスク評価は変化したと判断される。これらの結果は、独自の安全基準を設け、安全政策を展開することにより、消費者はよりリスク回避的な選択行動をとるという形で食生活を変化させる可能性の高いことを示唆するものである。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 吉野章, 竹下広宣, 児玉剛史: "食品安全性に関する政府発表の信頼性"2002年度日本農業経済学会論文集. 別冊. 218-220 (2002)
-
[Publications] 竹下広宣: "清涼飲料製造業におけるHACCP手法の取組みの現状"長期金融. 88. 46-52 (2003)
-
[Publications] 竹下広宣: "食品製造業によるHACCP, ISO導入の計量分析"長期金融. 88. 93-98 (2003)