2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01152
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡澤 慎 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 冷受容器 / CMR1 / TRPM8 / 細胞内カルシウム測定 / パッチクランプ / メントール / DRG / サーモスタット |
Research Abstract |
末梢の冷受容器は冷覚を誘発する。しかし、冷受容器の温度受容機構はいまだに不明な点が多い。冷受容器は冷却だけでなくメントールにも反応することがin vivoの実験で報告されている。本研究では、冷およびメントールの受容器を冷受容器系と捉えて、そのイオン機構、分子機構を解明する。 冷点を45度以上に熱すると冷感を生じる、いわゆる"逆説的冷感"が生じる。In Vivoの報告では冷受容器は45度以上の熱にも応答する(Paradoxical discharge)を説明すると考えられている。 しかしながらその分子メカニズムは依然不明である。 冷受容器を同定した研究者らの報告では冷受容体、CMR1 (TRPM8)は熱受容体,VR1と共存しない。そこで、本年度は、これらの点を明らかにすることを目的とした。 具体的には、末梢神経の細胞体が存在するDRG(後根神経節)にCMR1と熱受容器、VR1が共発現するかどうかをIn situ hybridyzationと免疫組織的手法を用いて解析した。彼らの方法では検出シグナルが弱いものは損なわれるため、検出シグナルを損なわない方法で行った。その結果、CMR1の発現する神経の29%がVR1を共発現することがわかった。また、DRGの培養系を用い,細胞内カルシウム測定、およびパッチクランプ法により解析したところ、多くの冷細胞が熱により、活性化することがわかった。その域温度は44±0.35℃だった。これは、In vivoでの報告に近い、また、これらの細胞にVR1が発現するか調べたところ、熱に反応した冷細胞の全てがVR1を発現することがわかった。以上のことから、冷受容器、CMR1は熱受容器、VR1と共発現することが明らかとなった。これが、逆説的冷感を引き起こすメカニズムと考えられる。この研究結果はNeuroscience lettersに報告した(in press)。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Abe, J., Okazawa, M., Adachi, R., Matsumura, K., Kobayashi, S.: "Primary cold-sensitive neurons in acutely dissociated cells of rat hypothalamus"Neuroscience Letters. 342,I-2. 29-32 (2003)
-
[Publications] Okazawa, M., Inoue, W., Hori, A., Hosokawa, H., Matsumura, K., Kobayashi, S.: "Noxious heat receptors presents in cold-sensory cells in rats"Neuroscience Letters. In press.