2004 Fiscal Year Annual Research Report
運動物体の移動先予測メカニズムに関する実験心理学的研究
Project/Area Number |
02J01154
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永井 聖剛 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 移動先予測 / 運動物体の認知 / classification image / テクスチャ / 面充填処理 |
Research Abstract |
カナダ・マクマスター大学心理学科にてPatrick Bennett教授およびAllison Srekuler教授と共にclassification imageという最新の知覚実験心理学テクニックを用い,運動物体の移動先予測に関連する物体認知の基礎的・ダイナミック処理について研究を行った.具体的には,線分および輝度要素から成るテクスチャ刺激を提示し,人間の視覚系がどのようなタイミングでどの位置を処理しているかをclassification imageの利点を活かし詳細に検討した.実験の結果,テクスチャが1次手がかりで定義される場合,2次手がかりで定義される場合よりも,より局所的な情報を用いていること,また刺激提示時に処理がピークに達することが明らかになった.同じく,classification imageにより同心円刺激を用いて面刺激のダイナミック処理も検討した.その結果から,古典的な心理物理学の実験で示唆されていた,面充填処理(すなわち,視覚系が面刺激を処理するときに,まず輪郭線を抽出し,その後内部に向かって面全体を処理していくこと)が生じていることをダイレクトに示した.また,面の外側からは抑制的な処理が行われ,そのピークは面刺激の提示よりも遅れるという興味深い知見が得られた.これらの研究成果をもとに,今後は運動物体の物体認知プロセスを深く探り,より直接的に移動先予測への関連を調べることを予定している. また,初年度より継続的に行ってきたrepresentational momentumを用いた研究では,有力国際誌であるPerception & Psychophysicsに論文を受理された.ここでは,速度の錯視が生じるような状況であっても,人間の視覚系は実際速度にしたがって,物理的に正しい予測を行っていることが明らかになった.
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Research Products
(2 results)