2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動物体の移動先予測メカニズムに関する実験心理学的研究
Project/Area Number |
02J01154
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
永井 聖剛 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 移動先予測 / Representational Momentum / 複数物体 / コントラスト / 移動物体の認知機構 |
Research Abstract |
本研究計画ではRepresentational Momentum(RM)現象を調べることにより移動先予測機構の機能を明らかにすることを目的とする。これまでのRM研究の大部分では運動物体が単独で提示されていたという問題点を考慮し、複数の刺激が存在する事態でRMがどのような性質を示すかについて研究している。前年度の実験で明らかにされた、静止刺激が1つ付加された状況でのRMの性質および静止刺激の位置記銘に関する性質、複数刺激を提示し被験者の眼球運動を統制した実験でのRMの性質、さらに誘導刺激を提示し運動の錯視を生じさせた状況でのRMの性質に関する実験的知見に基づき、本年度は論文を執筆し4つの投稿した。これらの論文は現在審査中である。これらの研究論文は,より日常生活の状況に近い複数物体が存在する場面で、脳内に存在する運動物体の移動先予測機構がいかに機能するかを明らかにする意義のある研究報告となることが期待される。さらに、眼球運動とRMとの関連を検討する実験で、運動刺激と背景刺激のコントラストがRMに大きな影響を与えることが示唆された。このテーマに関しては本年度に集中的に実験を行い、論文を投稿し、掲載が決定している。 また、本年度6月よりカナダ、マクマスター大学にてAllison Sekuler教授と、より数理的な手法でRM現象を研究するため共同研究を行っている。また、ここでは移動先予測機構自体の研究に加え、予測する物体の認知機構に関しても研究を進めている。移動物体の認知という問題はこれまで軽視されてきたが、移動対象が「飛行機」か「蝶々」では、その移動先の予測の方略が大きく異なるのは明白である。この問題に関しては、Perceptual completionという観点から検討を加え、すでに論文を投稿し、掲載が決定している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nagai, M., Sekuler, A.B., Bennett, P.J.: "Representational momentum with different target's contrast"Journal of Vision. (印刷中). (2004)
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[Publications] Bennett, P.J., Nagai, M., Sekuler, A.B.: "Perceptual completion is not better within than across hemispheres"Journal of Vision. (印刷中). (2004)