2002 Fiscal Year Annual Research Report
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02J01202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉 明宏 京都大学, 霊長類研究所, 助手
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Keywords | 聴覚 / 知覚的体制化 / ニホンザル |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトとサルの聴覚特性を比較し、その系統発生について考察することである。本年度は、ニホンザルにおける音の高さの時間的変化の知覚について検討した。 以前の研究において、サルは3音系列における音の高さの上昇・下降のパターンを弁別可能であることが示されている。今年度は、経時的に呈示される周波数の異なる2音を刺激として用い、2音の間にはさまれた無音区間が音の順序の弁別に及ぼす影響について検討した。各構成音の長さは25msから400ms、無音区間の長さは0ms(無音区間なし)から375msであった。2番目の音の高さが1番目の音に対して上昇する系列を上昇系列、下降する系列を下降系列と呼んだ。2頭のニホンザル(オス、5歳と8歳)を被験体として、上昇系列から下降系列への変化の弁別を、オペラント条件付けを用いて訓練した。対照として、7名のヒトにもほぼ同様の課題をおこなった。 サルの弁別成績は、2音間に無音区間を挿入した場合に低下した。一方、ヒトを被験者とした対照実験においては、ヒトの弁別は無音区間によって影響を受けなかった。これらの結果から、サルとヒトの聴覚的体制化の特性が異なり、ヒトは音列の全体的な特徴に注目するが、サルの弁別においてはヒトの場合と比べて局所的な音の高さの変化(2音の移行部分)がより重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kojima S., Izumi A., Ceugniet M.: "Identification of vocalizers by pant hoots, pant grunts and screams in a chimpanzee"Primates. (印刷中).
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[Publications] Izumi A.: "Effect of temporal separation on tome-sequence discrimination in monkeys"Hearing Research175,54-60. 175,1. 54-60 (2003)