2004 Fiscal Year Annual Research Report
MUレーダー・RASSを用いた水蒸気プロファイリングによる大気微細擾乱の観測
Project/Area Number |
02J01209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古本 淳一 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大気レーダー / 大気水蒸気 / 変分法 / リモートセンシング / RASS / 乱流散乱エコー / 最適化問題 |
Research Abstract |
水蒸気は、降雨等の気象現象を支配する重要な物理量である。しかし、その精密かつ高い分解能での測定は難しく、地表以外では観測頻度が限られる気球(ラジオゾンデ)等による直接測定が主流である。本研究は大気乱流エコー強度から水蒸気プロファイルを推定する、全天候型の新しい水蒸気プロファイル推定方法を確立することを目的とした研究を行った。特に、MUレーダーによる大気水蒸気推定法をさらに発展させ、その精度向上を図るとともに、測定高度領域を広げることにより、安定に精度よく天候に関わらず対流圏全域において水蒸気プロファイルを推定する手法の開発を目指し以下の研究を行った。 1.二つのレーダーを組み合わせた大気水蒸気プロファイル推定 最近開発されたラジオゾンデデータおよびGPS受信機による可降水量(=水蒸気の鉛直積分量)を補助的に用いた推定手法をさらに発展させ、観測高度範囲の異なる2つのレーダーの観測データを併用することでより広い高度範囲での水蒸気推定を行った。MUレーダーに加えて、L帯下部対流圏レーダーのデータを組み合わせることで高度0.2kmから7.5kmまでの大気水蒸気を時間連続的に推定することに成功した。これと同時観測されたラマンライダーとの観測結果に対応が認められた。(投稿準備中) 2.一次元変分法を用いた水蒸気の複合観測システム構築に関する予備研究 より精度の高い推定を目指し、一次元変分法を用いることで大気屈折率高度勾配から大気水蒸気プロファイルを推定する新しいアルゴリズム開発を行った。大気レーダーからは大気屈折率高度勾配の絶対値が観測されることから符号の不確実性を含めて推定を行うようなアルゴリズムの開発を行った。この手法により実際に水蒸気推定が可能であることを確かめられた。(投稿準備中)
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