2004 Fiscal Year Annual Research Report
測位衛星電波を用いた大気・海洋変動計測に関する基礎技術開発
Project/Area Number |
02J01210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 雄一 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | GPS掩蔽法 / 航空機実験 / 大気屈折率プロファイル計測 / 衛星ミッション提案 / 衛星軌道計算 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、測位衛星電波を用いた大気計測に関する以下の研究を実施した。 1.航空機からのダウンルッキングGPS掩蔽観測実験 電子航法研究所と共同で、世界初となる航空機からのダウンルッキングGPS掩蔽(DL掩蔽)観測実験を仙台、高知、札幌丘珠空港を基点に9回(1回あたり、約3日間観測)実施した。これらの観測データを解析すべく、これまでに開発した山頂DL掩蔽データ解析用ソフトウェアを刷新した。主な変更点は、1)地球基準座標系から慣性座標系依拠への変更、2)速度を持つ受信点の解析に対応、3)スネルの法則に依拠しない最小化アルゴリズムを用いた偏角・インパクトパラメータの導出、である。これにより山頂と航空機DL掩蔽データの両方の解析が可能となり、実際に7月1日に高知空港を基点に行った航空機DL掩蔽データの解析を行い、飛行高度(約5.7km)から700mまでの屈折率プロファイルを導出した。気象研究所のメソスケールモデルの出力から計算した屈折率プロファイルとの比較で、高度2km以上で良い一致が見られた。モデルによると高度2km付近に屈折率の強い水平勾配が見られ、その影響で高度2km以下の屈折率観測値に大きな正のバイアスが存在するが、細かい変動についてはモデルの屈折率変動をよく再現していた。更なる結果の検証は必要であるが、世界で初めて、航空機DL掩蔽観測から屈折率プロファイルを導出することに成功したと言える。 2.低軌道衛星からのGPS掩蔽観測実験計画 2007年からブラジルの低軌道(LEO)衛星EQUARSによるGPS掩蔽観測が実施される予定である。このデータを解析するシステムの構築を継続し、システムのリアルタイム処理などの検証を行った。平行して、LEO衛星・GPS衛星の軌道計算に基づくGPS掩蔽観測シミュレーションを行った。このシミュレーションにより、EQUARSの軌道を、最も効率的な赤道大気計測が可能となる、軌道高度を750km、軌道傾斜角を20度に設定した。また、同一軌道上に複数のLEO衛星を投入した場合のGPS掩蔽観測点分布を計算した。傾斜角20度の赤道軌道に3機のLEO衛星を配置した場合、赤道域の任意の点を中心とする半径1000km以内の領域では最低3時間に1度はGPS掩蔽観測があることから、小型LEO衛星(測器の重量は約5kg)のネットワークにより高時空間分解能大気計測が可能であることを定量的に示した。
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Research Products
(4 results)