2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01303
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
郡 宏 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 結合振動子系 / ニューラルネットワーク / クラスタリング / 同期現象 |
Research Abstract |
大域結合を持つ振動子集団に現れるslow switchingと呼ばれる現象について解析した。モデルは神経細胞集団をモデル化したものを用いた。具体的には、振動子のモデルとしてはleaky integrate-and fire(LIF)モデル、結合としてはシナプス結合を記述するパルス結合を用いている。モデルの重要なパラメタは結合の遅れとパルスの時間的な幅である。この2つ時定数が振動の固有周期に対してある程度小さいとき、系はslow switching現象と呼ばれる特殊なダイナミクスを伴う2クラスタ状態を形成することを示した。この現象が起こる構造を明らかにするため、弱結合を仮定してモデルを縮約し、その縮約したモデルで線形安定性解析を行った。その結果、系の持つ解はすべて線形不安定であることが示された。しかし、対称性の考察により、ペアをなす解の間にサドルコネクションが構造安定に存在できることが示せ、実際slow switching現象はこのサドルコネクションの存在によって現れる現象である。縮約されたモデルの解析により、完全同期状態、slow switching現象、安定なクラスタ化がどのようなパラメタで現れるかを求めることができた。パラメタ領域はあまり広くないがslow switchingを伴う2クラスタ状態の他に、壊れた1クラスタ状態、slow switchingを伴う3クラスタ状態などが存在し、これらの解析を現在進めているところである。
|