Research Abstract |
海鳥類は,海洋を採餌場として利用し,その繁殖生態や行動は,海洋環境と密接に関係している.海洋の餌資源環境は時空間的に複雑に変化するため,海鳥はそれに行動的に対応する必要があるだろう.本研究では,西表島に隣接する仲ノ神島に生息するカツオドリと,南極アデリーランドに生息するアデリーペンギンを題材にして,変動する海洋資源環境に対する,海鳥の時々刻々の対応を明らかにし,高次捕食者と海洋環境の関係について考察することを目的とした. データロガーを用いて得られた行動データをもとに,海鳥の育雛戦略モデルを作成した.その結果,カツオドリやアデリーペンギンのように,胃に餌を貯めて子に運搬するような動物では,1)胃容量以上には餌を運搬できない,2)自分で消化吸収する採餌は,採餌トリップの前半に行い,後半は雛に餌を持ち帰るため,消化をストップする,という二つの形態的,行動的制約を受けていることが明らかになった.それらの制約を受けながら,変動する餌資源環境(時間あたり利用できる餌量)に対して,最適に振る舞っていることが明らかになった.これは,海鳥の行動から,餌環境の時々刻々の変動の予測を可能にする. 成果を,国際学会(9^<th> Bienniel Congress of the International Society for Behavioral Ecology,7-12 July 2002,Montreal, Canada)と国際シンポジウム(International Symposium on Bio-logging Science, March 17-21 2003,Tokyo, Japan)において,発表した.また,成果の一部は,Polar Biology上で発表された.また,研究の主要部分を論文に纏め,投稿準備中である.
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