2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゼニゴケY染色体特異的反復配列に富む領域YR1の遺伝子構成
Project/Area Number |
02J01459
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石崎 公庸 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゼニゴケ / Y染色体 / マルチコピー遺伝子 / 雄特異的発現 / 進化 |
Research Abstract |
本研究では、雌雄異株植物ゼニゴケが、他の植物種に比べて極めて小さい性染色体を持つことに着目し、そのY染色体の一次構造解析から、植物の雄生決定機構、稔性に関わる遺伝子を単離することを目的としている。本研究では特にゼニゴケY染色体のうちの、約半分にあたるYR1について、その領域にコードされる遺伝子の単離を目指した。YR1にはY染色体特異的反復配列が蓄積していることが分かっている。 今年度、私はまずYR1に属するPACクローンの一つpMM2D3の一次構造解析を完了し、そこに5個の新規遺伝子を見出した。そのうちの1つ、M2D3.4が雄特異的に存在し、さらに生殖器でより多く発現していることを示し、このM2D3.4が雄の生殖器特異的な機能を持ち、雄生殖器官の分化に関与する可能性を示した。またこれらの新規遺伝子がY染色体特異的にマルチコピー遺伝子として存在することを示した。これらの成果を論文としてまとめ、2002年11月Nucleic Acids Research、30巻、21号、4675-4681ページに掲載された。 またYR1の遺伝情報を網羅的に解析する基盤を構築するため、YR1をカバーする429個のPACクローンを制限酵素の切断パターンによるグループ化を行い、20グループに分け、その中から24個の代表PACクローンを選んだ。これらのPACクローンのインサート長の合計は約2.4Mbである。またYR1に作製されたContig1(470kb)から、このコンティグをカバーする5個のPACクローンが選抜した。またYR1のうち300kbの領域は、Y染色体特異的反復配列(2.2kb BamHIユニット)のみで構成されると見積もられた。すなわち、制限酵素の切断プロファイルの異なる24個の代表PACクローンとContig1からの5PACクローンの一次構造解析を行うことにより、YR1(3〜4Mb)の遺伝情報は、ほぼ網羅されると考えられる。現在までに、Contig1からの5PACクローンについてはショットガン配列データを得た。24個の代表クローンについても、15個については配列データを得ている。来年度は、これらの配列解析とそこにコードされる遺伝子の単離を行う。
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Research Products
(1 results)