2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松島 良 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ER body / 小胞体 / β-グルコシダーゼ / シロイヌナズナ / ジャスモン酸 / 傷害 / 食害 / 細胞小器官 |
Research Abstract |
シロイヌナズナに見出されるER bodyは長さ〜10μm、幅〜1μmの細長い形態を示す小胞体由来の構造体である。ER bodyの主構成成分はこれまで未同定であり、その生理機能は分かっていない。小胞体局在化シグナルを持つ緑色蛍光タンパク質を発現する形質転換シロイヌナズナ(GFP-h)では、ER bodyを可視化することができる。GFP-h植物体を観察することによって、ER bodyに関して以下の特徴を明らかにした。ER bodyは幼植物体の子葉、胚軸、根に多量に発達しており、子葉においては老化とともに数が減少する。また、ロゼット葉には発達していないが、人為的な傷害およびアザミウマによる食害を受けたロゼット葉ではER bodyが誘導される。傷害および食害によるER bodyの誘導は植物ホルモンの1つであるジャスモン酸を介して行われる。これらの結果から、ER bodyの機能が植物の傷害および食害に対する抵抗性に関与していると考えられた。ER bodyの誘導・形成機構を分子レベルで解析をするために、ER bodyの形成・形態に異常を示す突然変異体のスクリーニングを行った。その結果、幼植物体の子葉、胚軸、根においてER bodyがほとんど検出されないnail変異体を単離することに成功した。GFP-h植物体とnail変異体を比較解析したところ、PYK10と呼ばれるβ-グルコシダーゼがnail変異体では欠失していた。蛍光抗体法および免疫電子顕微鏡観察を行った結果、PYK10がER bodyに局在していることが分かった。さらに分画遠心法を用いて、PYK10が選択的にER bodyに濃縮されていることも明らかにした。β-グルコシダーゼであるPYK10の機能は、植物種特異的に発達しているER bodyの機能と密接に関係しており、植食性昆虫もしくは病害細菌に対する植物の防御機構に関与すると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ryo Matsushima, Yasuko Hayashi, Maki Kondo Tomoo Shimada, Mikio Nishimura, Ikuko Hara-Nishimura: "An endoplasmic reticulum-derived structure that is induced under stress conditions in Arabidopsis"Plant Physiology. 130. 1807-1814 (2002)
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[Publications] Ryo Matsushima, Maki Kondo, Mikio Nishimura, Ikuko Hara-Nishimura: "A novel ER-derived compartment, the ER body, selectively accumulates a β-glucosidase with an ER-retention signal in Arabidopsis"The Plant Journal. 33. 493-502 (2003)