2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松島 良 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ER body / 小胞体 / シロイヌナズナ / 転写制御因子 / bHLH domain / 細胞小器官 / 緑色蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
シロイヌナズナに見出されるER bodyは長さ〜10μm、幅〜1μmの細長い形態を示す小胞体由来の構造体である。小胞体局在化シグナルを持つ緑色蛍光タンパク質を発現する形質転換シロイヌナズナ(GFP-h)では、ER bodyが可視化される。ER bodyの誘導・形成機構を分子レベルで解析するために変異処理を行ったGFP-h植物体を蛍光顕微鏡で観察することによって、ER bodyの形成・形態に異常を示す突然変異体のスクリーニングを行った。その結果、幼植物体の子葉、胚軸、根においてER bodyがほとんど検出されないnai1変異体を単離することに成功した。ER bodyの形成に関与するnai1変異の原因遺伝子(NAI1遺伝子)を同定するために、マップベーストクローニングを行った。その結果、nai1変異体ではbasic-helix-loop-helix (bHLH) domainを有するタンパク質をコードする遺伝子に塩基置換が起きていることを見出した。nail変異体におけるこの遺伝子の発現解析およびこの遺伝子にT-DNAが挿入された変異体の解析から、この遺伝子がNAI1遺伝子であると結論した。bHLH domainを有するタンパク質の多くは転写制御因子であり、NAI1タンパク質もER bodyに関わる遺伝子の転写制御を行っている可能性が考えられた。GFP-1植物体とnai1変異体のタンパク質組成を二次元電気泳動法により比較解析したところ、nai1変異体において蓄積量が下がっているタンパク質を複数個同定した。同定されたタンパク質をコードする遺伝子の転写制御を、NAI1タンパク質が行っていると考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Matsushima, R.: "The ER Body, a Novel Endoplasmic Reticulum-Derived Structure in Arabidopsis"Plant and Cell Physiology. 44. 661-666 (2003)
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[Publications] Hara-Nishimura, I.: "A wound-inducible organelle derived from endoplasmic reticulum : a plant strategy against environmental stresses?"Current Opinion in Plant Biology. 6. 583-588 (2003)