2002 Fiscal Year Annual Research Report
βKlothoの機能解析によるKlotho遺伝子群が統御する生命維持機構の研究
Project/Area Number |
02J01522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 慎二 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | βklotho / Klotho / 脂質代謝 |
Research Abstract |
個体老化制御に関わる可能性が高いと考えられている分子であるKlotho蛋白質と高度に類似した分子であるβKlotho蛋白質を欠損するマウス(βklothoノックアウトマウス)を作製し、表現型解析を行った。最初にβklothoを発現する組織である肝臓や脂肪を中心に顕著な形態的異常が認められるか否かを幅広く解析したが、顕著な形態の異常は認められなかった。しかし、βklothoノックアウトマウスでは野生型マウスに比べて胸骨の4つの分節構造であるSternabraeの第3番と第4番が融合するという局所的形成異常の見られる確率が有意に高いことが分かった。また、βklothoノックアウトマウスでは軽微な成長遅延が認められ、その体重は野生型の同腹仔に比べて有意に小さいことが分かった。βklotho遺伝子は肝臓、脂肪組織、膵臓外分泌部・腸管上皮、卵黄嚢の一部といった脂質の代謝に関わりのある組織で発現することから、つぎにβklothoノックアウトマウスの脂質代謝に異常が認められるかどうかを調べた。まず最初に、βklothoノックアウトマウスの血清について、脂質成分を広範囲にわたって調べたが、野生型マウスに比べて大きく変動している成分を見出すことは出来なかった。同時に肝臓や膵臓といった組織の異常を示す血清マーカーの値についても幅広く調べたが、野生型マウスに比べて大きな値の差は認められなかった。次に脂質代謝に関わる様々な遺伝子の発現について幅広く調べた。その結果、βklothoノックアウトマウスでは脂質の分解に関わる酵素をコードする遺伝子群の発現が顕著に昂進していることが分かった。
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