2002 Fiscal Year Annual Research Report
薬物腎排泄に関わる有機アニオントランスポータの分子的多様性と機能解析に関する研究
Project/Area Number |
02J01530
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 綾子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機アニオントランスポータ / 有機カチオントランスポータ / 尿細管分泌 / 急性腎障害 / 慢性腎障害 / in silicoサブストラクション / クローニング |
Research Abstract |
尿細管上皮細胞に発現する有機アニオントランスポータ群は、異物や代謝老廃物の解毒機構として重要な役割を担っている。本研究では、有機アニオントランスポータ群の薬物動態学的・病態生理学的役割を解明するため、薬剤誘発急性腎障害ラットを用いて、腎障害時並びにその回復過程における有機アニオントランスポータ(rOAT1及びrOAT3)の発現変動を有機カチオントランスポータ(rOCT1及びrOCT2)と併せて精査した。また、腎不全時における薬物トランスポータ群の役割を総合的に理解するために、慢性腎不全モデルラット及び正常ラットを用いて発現遺伝子のin silicoサブトラクションを行い、腎不全時における遺伝子発現プロファイルを評価した。 薬剤誘発急性腎障害ラットを作製し、薬物トランスポータ群の発現変動と腎機能の変化との比較解析を行った。その結果、バンコマイシン投与による腎障害に伴い、rOAT1及びrOAT3の発現量が著しく低下することが判明した。また、その発現変動は腎機能の回復と対応した推移を示した。一方、rOCT1及びrOCT2の発現量は大きく変動しなかった。従って、腎障害からの回復過程には有機アニオントランスポータと有機カチオントランスポータが異なる挙動を示すことが明らかとなり、薬物の体内動態に影響を与えることが示唆された。 慢性腎不全モデルラットと正常ラットを用いてin silicoサブトラクションを行った結果、両群でrOAT1の発現頻度に差は認められなかったが、OATと同様に有機イオントランスポータファミリーに属するカルニチントランスポータOCTN2の発現頻度は腎不全群で減少していた。またBLAST検索を行い、生理機能が未知である遺伝子の中から新規グルコーストランスポータrNaGLT1の単離に成功した。今後、同様の手法を用いることによる新規薬物トランスポータの同定が期待される。
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Research Products
(1 results)