2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブレーンワールドシナリオにおける非線形・非摂動的な重力相互作用の解明
Project/Area Number |
02J01569
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
工藤 秀明 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ブレーンワールド / 非線形 / 重力 / ブラックホール / 高次摂動 / 宇宙モデル |
Research Abstract |
近年の新たな試みであるブレーンワールドシナリオとは、我々の宇宙を高次元中に埋め込まれたブレーンによって実現しようとする理論モデルである。私はこのモデルにおける非線形・非摂動的な重力相互作用を解き明かし、それによってブレーンワールドシナリオに特有な理論的予言等を得ることを目指し、以下のような研究を行った。 (1)ブレーンワールドモデルにおける重力場の高次摂動について 以前、私と共同研究者は重力場の高次摂動の影響をブレーンワールドモデルにおいて評価し、観測的な制限との比較を行った。この研究を発展させ、完結した結果を得るために、私はさらに研究をすすめた。私は共同研究者と共に、2枚のブレーンをつかったブレーンワールドモデルにおいて、静的軸対称な摂動展開を行い、このモデルにおけるポストニュートニアンの評価を行った。その結果、いくつかの例外的な場合が考えられるものの、このモデルにおける重力の振る舞いは4次元のそれと矛盾しないことが確認された。逆に、ポストニュートニアンの観測によって、モデルの正否を明らかにすることは難しいことが分かった。 (2)ブレーンワールドモデルにおけるブラックホールについて ブレーンワールドモデルに基づくブラックホールの性質を解明することは未解決問題とされ、強い重力場の振る舞いを解明するにあたって重要な間題であると認識されてきた。私は共同研究者と共にこの間題に取り組み、ブラックホールを表す(数値)解をブレーンワールドモデルの下で初めて明らかにした。このブラックホールは5次元時空中にあるにもかかわらず、4次元的な振る舞いを示すことが明らかにされ、これにより強い重力場の振る舞いについての知見が進んだ。この研究による成果は現在投稿中である。
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Research Products
(1 results)