2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホルムアルデヒドによって誘発されるDNA付加体の定量法の開発
Project/Area Number |
02J01635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安井 学 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2) (50435707)
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Keywords | ホルムアルデヒド / DNA損傷 / DNA付加体 / 突然変異 / 塩基置換 / LC / MS / MS / ^<32>P-ポストラベル法 / バイオマーカー |
Research Abstract |
ホルムアルデヒドの環境汚染が問題となる一方、内因性のホルムデヒドの影響も解明する必要がある状況で、N^2-Me-dGをホルムアルデヒド人体暴露のバイオマーカーに利用することを目的に、本研究はN^2-Me-dGの定量法を確立し、N^2-Me-dG損傷によって引き起こされる誤塩基対形成パターンと頻度を明らかにした。得られた研究成果は以下のように要約される。 1.LC/MS/MSによる実用的なN^2-Me-dGの定量法を確立している。 2.ホルムアルデヒド未処理の培養細胞DNAからN^2-Me-dGを10^7塩基あたり1.1個検中することに成功した。このことからN^2-Me-dGは内因性のDNA損傷であることが、本研究によって初めて判明した。 3.ホルムアルデヒド暴露した培養細胞DNAから検出したN^2-Me-dGは、暴露濃度に依存して増加した。よってN^2-Me-dGがホルムアルデヒド暴露のバイオマーカーとして使用できることを明らかにした。 4.N^2-Me-dGが突然変異を誘発するDNA損傷であることを、in vitro実験系を用いて証明している。 5.ヌクレオチドプール中のN^2-Me-dGTPが、極めて高い頻度でDNA生成の材料として利用されることを明らかにした。 6.N^2-Me-dGの誤塩基対形成パターンおよび頻度は、N^2-Me-dGの3'側の塩基配列の違いによって顕著に変化することを証明した。Klenow fragment(exo+)を用いたとき、^<5'>G^<Me>Tテンプレートでは誤塩基対形成は見られず、^<5'>G^<Me>Aテンプレートでは2塩基欠失(8.1%)、^<5'>G^<Me>GテンプレートではdA(5.6%)とdT(9.1%)、^<5'>G^<Me>CテンプレートではdT(8.2%)の誤塩基対形成を誘発した。従って、N^2-Me-dGはG : C→A : TおよびG : C→T : A塩基置換を引き起こすことを明らかにした。 以上のように、本論文はホルムアルデヒドに起因する発癌リスク算定の根拠となる基礎資料を提供し、また分子疫学のバイオマーカーとして利用するための実践的な方法を確立した。
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Research Products
(1 results)