2002 Fiscal Year Annual Research Report
3次元フォトニック結晶による超小型光デバイスの理論解析と設計
Project/Area Number |
02J01638
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡野 誠 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フォトニック結晶 / 光共振器 / 光導波路 |
Research Abstract |
これまでに、研究代表者は3次元フォトニック結晶点欠陥光共振器の数値解析を行い、欠陥形状、欠陥位置を最適化することで単一モード共振器が実現可能であることを明らかにした。 3次元フォトニック結晶に点欠陥のみを導入した場合、光は広い立体角に渡り放射されることとなる。そこで、光デバイスヘの応用を考えた場合、新たに点欠陥部から光を効率よく取り出す構造を設計する必要がある。 本年度は、3次元フォトニック結晶光回路への応用に必須である点欠陥と線欠陥光導波路を結合させた構造について設計、解析を行った。線欠陥光導波路としては、フォトニック結晶ロッドを1本除去した空気導波路を用いた。 1.点欠陥と光導波路を同一ロッド上に導入した場合について解析を行い、この場合には点欠陥部から導波路部へ光が全く導波しないことを明らかにした。これは、点欠陥モードと導波モードの電磁界分布が異なる偶奇性をもつためである。 2.モード形状の対称性の違いが、非結合状態の原因であることが明らかとなったので、次に、結合構造に対して非対称性の導入を試みた。点欠陥と光導波路を異なるロッド上に配置した場合について解析を行い、非対称性の導入により非結合条件が解消され、点欠陥部から導波路部へ光が導波することを確認した。 3.次に、点欠陥部から導波路部へと光が導波する際の結合度について解析を行った。結合度は、点欠陥部の光が、導波路への放射のため、どのくらいの速さで減衰するのかを調べることで評価できる。本研究では、減衰量の指標としてQ値を用いた(Q値が小さいほど結合度は大きい)。 導波路の導入位置を変えた場合Q値は劇的に変化し、3次元フォトニック結晶のロッド周期をaとした場合、0.2a程度の変化に対して、Q値が10^3〜10^4程度変化することが明らかとなった。 この導波路位置に対するQ値の劇的な振動を、例えば、屈折率を動的に変化させる等で制御することにより、スイッチング機能の実現が可能であると期待される。 以上より、本年度は、点欠陥部から光を取り出す方法として線欠陥光導波路を用いた方法を提案し、その詳細を明らかとした。 本研究では、固有モード解析手法である平面波展開法、Maxwell方程式を直接解く時間領域差分(Finite-Difference Time-Domain)法等を用いて解析、設計を行った。なお、以上の数値解析には京都大学大型計算機センターのスーパーコンピュータを利用した並列計算を用いた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Okano, A.Chutinan, S.Noda: "Analysis and design of single-defect cavities in a three-dimensional photonic crystal"Physical Review B. 66. 165211 (2002)
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[Publications] S.Noda, M.Imada, M.Okano, S.Ogawa, M.Mochizuki, A.Chutinan: "Semiconductor Three-Dimensional and Two-Dimensional Photonic Crystals and Devices"IEEE Journal of Quantum Electronics. 38. 726 (2002)