2003 Fiscal Year Annual Research Report
3次元フォトニック結晶による超小型光デバイスの理論解析と設計
Project/Area Number |
02J01638
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡野 誠 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フォトニック結晶 / 光共振器 / 群論 |
Research Abstract |
これまでに、研究代表者は3次元フォトニック結晶点欠陥共振器の数値解析を行い、欠陥形状、欠陥位置を最適化することで単一モード共振器が実現可能であることを明らかにした。この際、欠陥モードの解析は低次のモード、つまり、欠陥体積が非常に小さい場合に限られていた。しかし、実際のデバイスへの応用を考えた場合、より大きな欠陥構造を利用することで性能の向上が期待できる場合がある。例えば、レーザへの応用を考えた場合、より大きな欠陥構造を用いることで、出力強度の向上、放射パターンの指向性の改善が期待できる。 本年度は、平面波展開法、時間領域差分法を用いた3次元フォトニック結晶欠陥共振器の高次モード解析を行った。ここで、大きな欠陥構造においては欠陥モード数が多くなるため、通常の解析方法では解析が困難である。そこで、本研究では、群論(対称性の議論)を用いて、欠陥モードを分類することにより、解析を簡便なものとした。本研究では、点群C_<2v>,C_<2h>をもつ欠陥構造に対して解析を行った。この場合、欠陥モードは4種類に分類できる。例えば、欠陥モードの総数が10程度の場合でも、同時に解析を行う欠陥モード数は各種類においては2〜3であり解析は容易である。本研究では、実際に欠陥モードの総数が20となる場合まで解析を行っている。以下、本研究により得られた知見を示す。 1.3次元フォトニック結晶欠陥共振器において、有限積層数におけるQ値を評価した結果、Q値は欠陥モードの次数には、大きく依存しないことが分かった。Q値は、積層数によりほぼ決定される。これは、3次元フォトニック結晶では、すべての方向に対し、フォトニックバンドギャップ効果により光を閉じ込めているからである。例えば、2次元フォトニック結晶スラブ欠陥共振器では、積層方向に対しては全反射により光を閉じ込めているため、Q値は欠陥モードの次数に大きく依存する。様々な次数の欠陥モードに対してQ値を同様にすることができる点は、3次元フォトニック結晶欠陥共振器の利点である。 2.欠陥モードの偏光特性は、点欠陥構造の対称性に大きく依存する。また、群論を用いた対称性の議論より、欠陥モードがどのような偏光特性をもつかを予想することが可能である。偏光特性が点欠陥構造により容易に制御可能であることは、実用上大きな意味をもつ。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Okano, S.Kako, S.Noda: "Coupling between a point-defect cavity and a line-defect waveguide in three-dimensional photonic crystal"Physical Review B. 68. 235110-1-235110-10 (2003)
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[Publications] T.Asano, M.Mochizuki, S.Noda, M.Okano, M.Imada: "A channel drop filter using a single defect in a 2-D photonic crystal slab -Defect engineering with respect to polarization mode and ratio of emissions from upper and lower sides"Journal of Lightwave Technology. 21. 1370-1376 (2003)