2002 Fiscal Year Annual Research Report
インターエレメント化合物を用いる選択的・効率的gem-ビスメタル化反応の開発
Project/Area Number |
02J01641
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉橋 拓也 京都大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホウ素 / ケイ素 / ジメタル |
Research Abstract |
本研究は,ジボロンやシリルボランなどのインターエレメント化合物を用いたカルベノイド型化合物の一般的かつ効率的なgem-ジメタル化反応を開発することを目的としている。本年度の主な成果は次の通りである。 (1)1-リチオ-1-ハロアルケンにジボロンやシリルボランなどのインターエレメント化合物を作用させると,sp^2炭素のgem-ジメタル化が収率よく進行することを見つけた。得られたgem-ジメタル化合物は二つの炭素-金属結合を手がかりに,立体および位置選択的な炭素骨格構築に使えることを示した。たとえば、gem-ジボリルアルケンを用いると抗乳癌薬であるタモキシフェンの立体選択的合成に成功した。これまでに立体選択的合成が達成されていない,種々の抗乳癌薬として活性なタモキシフェン誘導体が簡便に合成できると考えている。 (2)3-クロロアルキニルリチウムにシリルボランを作用させると,ボラート錯体形成ののち脱離基のアンチS_N2'型脱離,シリル基の1,2-転位により,基質のsp炭素をgem-ジメタル化して1-ボリル-1-シリルアレンが収率よく得られることをみつけた。さらに基質に光学活性プロパルギルアルコール誘導体を用いると,光学活性1-ボリル-1-シリルアレンが生成した。(S)-プロパルギルメシレートの中心性不斉が(R)-1-ボリル-1-シリルアレンの軸性不斉に転写されていることから,アルキニルリチウムにシリルボランを作用させるとボラート錯体が生成し,次にアンチS_N2'型の脱離を伴ったシリル基の1,2-転位により,1-ボリル-1-シリルアレンが得られることを明らかにした。また,得られた光学活性gem-ジメタル化合物の二つの炭素-金属結合を手がかりにすることで,立体および位置選択的な炭素骨格構築に使うことができ,天然物合成等にも応用することができるのではないかと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kurahashi, T.: "Geminal Dimetalation of Alkylidene-type Carbenoids with Silylboranes and Diborons"Tetrahedron. 58. 6381-6395 (2002)
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[Publications] Shimizu, M.: "gem-Silylborylation of an Sp-Carbon : Novel Synthesis of 1-Boryl-1-silylallenes"Org.Lett.. 5. 225-227 (2003)