2003 Fiscal Year Annual Research Report
波浪による海岸構造物周辺地盤の液状化・洗掘過程に関する研究
Project/Area Number |
02J01685
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 順司 京都大学, 防災研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 波浪 / 液状化 / 流動化 / 重力流れ / 凝固 / 堆積 |
Research Abstract |
本研究では,暴波浪来襲時の海岸保全構造物-地盤系の動的安定性評価の観点から、波浪作用下における地盤の液状化にともなう波のエネルギー消散機構を液状化土の凝固・圧密の理論を用いて理論的に研究するとともに,海底地盤の液状化にともなう堆積物の重力流れの流れ機構とその凝固過程を実験と理論の両面から明らかにした。得られた主な研究成果は以下のとおりである。 波浪負荷中の液状化土の進行性凝固モデルに基づいて,液状化地盤における波浪エネルギーの消散能の検討と,地盤内間隙流体の混合・輸送過程に関する考察を行った.得られた主要な結論をまとめると以下のようになる.(1)液状化土のエネルギー消散能力を評価するために,剛性を失った流体的な挙動をする液状化土と,僅かに剛性を保持する固体的な性質を示す液状化土とを区別した.固体的な液状化土層(遷移境界層)によるエネルギー消散能に着目し,その評価方法を提示した;(2)液状化地盤内の遷移境界層におけるエネルギー消散量は,高橋ら(1994)の波高減衰実験で観察された液状化土全体のエネルギー消費量と対応した。これにより,遷移境界層の厚さと固体的な液状化土のせん断剛性のとりうる範囲を提示した;(3)波浪作用下における凝固フロントの上昇過程において,凝固フロントは,その直下の凝固領域を著しく圧縮させながら高密度化フロントとして上昇する. 堆積物重力流れの内部機構を明らかにし,不安定化した大量の土砂がどこから運ばれどこに再堆積するのかを予測するために,液状化にともなう高濃度堆積物重力流れの発達から停止までの一連の過程を予測する手法を提案した.その特徴は,堆積物全体を流れ領域と凝固領域で構成し,ナビエ・ストークス式と弾塑性圧密式の2相系で定式化していること,両式を結ぶために流れ領域と凝固領域の間に,有効応力はゼロであるが僅かに剛性を持つ遷移境界層を導入し,液状化土が凝固し得るようにしていることである.重力流れ内部において発生・発達する堆積物の凝固の結果として流れは減速・停止しすることを明らかにした.水槽実験で理論の検証を行った.PIVを用いて,流動化/液状化した高濃度重力流れは,粒子全体が流れ方向に速度を持って移動し,流れの底部から徐々に減速していき,流動化土が凝固する.その後,凝固領域は徐々に流れ表面に向かって拡大していき流れの停止に至る.このような高濃度重力流れの進行性凝固にともなう停止機構は,提案した予測モデルの結果と調和的であり,理論の正しさを実証した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Miyamoto, S.Sassa, H.Sekiguchi: "Preshearing effect on the wave-induced liquefaction in sand beds"Proceeding of the Soil & Rock America 2003. 1025-1032 (2003)
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[Publications] 宮本順司, 佐々真志, 関口秀雄: "液状化地盤における進行性凝固-波浪エネルギー消散と境界層内物質輸送への適用"海岸工学論文集. 50. 851-855 (2003)
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[Publications] Sassa, S., Miyamoto, J., Sekiguchi, H: "The dynamics of liquefied sediment flow undergoing progressive solidification"In : Submarine Mass Movements and Their Consequences (eds.J.Locat and J.Mienert), Advances in Natural and Technological Hazards Research. 19. 95-102 (2003)