2002 Fiscal Year Annual Research Report
レーダー観測及び計算機シミュレーションを用いた電離圏イレギュラリティの研究
Project/Area Number |
02J01700
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横山 竜宏 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電離圏 / シミュレーション / レーダー / プラズマ不安定 / E領域 |
Research Abstract |
本研究では、レーダー、ロケット、計算機シミュレーションを用いて、電離圏E領域において出現するプラズマ不安定現象(沿磁力線イレギュラリティ)と、それに付随する分極電界の生成機構に関する研究を行った。 2002年8月3日、電離圏ロケット観測キャンペーン"SEEK-2"が実施された。この実験では2機の観測ロケットを鹿児島宇宙空間観測所より15分間隔で打ち上げ、イレギュラリティ現象に付随した様々な電離圏の物理量を取得することに成功した。また、可搬型レーダーを種子島に設置し、イレギュラリティ現象の出現をモニターすることによって打ち上げのタイミングを決定した。電界ベクトルの観測結果の解析を行い、現在までに結果の得られている他観測との比較を行った結果、高度103km付近に存在する高電子密度層(スポラディックE層)に付随して、激しい変動を伴う電界が存在することが明らかとなった。一方、高度110km以上においては、10km程度の波長を持った電界の変動が観測され、下層のスポラディックE層からの磁力線に沿ったマッピングの影響が存在すると考えられる。 3次元の計算機シミュレーションモデルを構築し、電離圏E領域における分極電界生成の検証を行った結果、スポラディックE層内にさらに高密度のプラズマ塊が存在する場合、一様な中性風を与えることにより5mV/m程度の分極電界が生成され、沿磁力線電流によりF領域とカップリングする様子が見られた。また、中性風シアの中心に存在する一様なスポラディックE層が、何らかの原因で変調を受けた場合にも同様の分極電界が生成されることが明らかとなった。さらに、SEEK-2で観測された数nTの微小な磁場変動もシミュレーション上で再現された。
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