2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01705
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑田 彩 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オオハギ / アリ植物 / 被食防衛 / フードボディ / 葉の回転率 / アリ防衛 / 化学的防衛 |
Research Abstract |
各マカランガ種のアリ防衛、非アリ防衛(化学的防衛や物理的防衛)への依存度のバランスが何によって決まっているのかを明らかにするために、マレーシアサラワク州ランビルヒルズ国立公園に分布するマカランガ10種を用いて、アリ防衛、非アリ防衛(化学的防衛や物理的防衛)に関わるさまざまなパラメータを測定し、種間比較した。アリ防衛に関するパラメータとしては、葉面積あたりのアリのパトロール数、アリの攻撃性、アリコロニーの大きさ、マカランガが分泌するアリの餌であるフードボディ(以下FBs)の生産速度を測定し、非アリ防衛に関するパラメータとしては、葉の硬さ、葉面積当たりの総フェノール、縮合タンニン、リグニン含量を測定した。アリ防衛、非アリ防衛の強さは種によって大きく異なり、葉の回転速度が大きい種では葉が入れ替わってもリクルートする必要のないアリ防衛が好まれ、逆に葉の回転速度が小さい種では葉の合成時に一度投資するだけで効果が持続する非アリ防衛が好まれていた。また、葉の回転速度が中間的な種では、若い葉ではアリ防衛、古い葉では非アリ防衛が好まれていた。その結果、アリ防衛と非アリ防衛の間には負の相関が見られた。以上から、各マカランガ種のアリ防衛、非アリ防衛への依存度のバランスは主に葉の回転速度によって決まっており、各マカランガ種はそれぞれの葉の回転速度にとって最も経済的かつ効率的な防衛戦略をとっていることが明らかになった。また、マカランガのFBsへの投資量とアリ防衛効果の間には、有意ではないが正の相関がある傾向が見られた。FBsへの投資量は主に系統的制約で決まっているが、投資量に見合わない防衛効果を示す種が何種か見られ、そのような種ではカイガラムシ経由の餌や今回の方法では検出できない防衛効果の影響が効いていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Aya Hatada, Takao Itioka, Ryohei Yamoka, Takao Itino: "Carbon and nitrogen contents of food bodies in three myrmecophytic species of Macaranga : implications for antiherbivore defense mechanisms"Journal of Plant Research. Vol.115. 179-184 (2002)