2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01706
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 愛 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロアリ / 安定同位体 / リゾチーム / 窒素代謝 |
Research Abstract |
本年度はまず、^<15>Nを利用したトレーサー実験を開始した。安定同位元素で標識した空中窒素のもとでシロアリを飼育し、一定時間経過後にシロアリの体を組織ごとに分け、体内のどこに標識された窒素が蓄積されるか追跡している。現在までのところ、消化管内の微生物が固定した空中窒素が、シロアリの巣仲間間で観察される栄養交換を介して交換され、シロアリの組織に同化されることを示す結果が得られている。また、消化管内の微生物による窒素固定の速度がコロニーごとに大きく異なっていることが判明した。この研究結果を以前の研究結果と合わせて国際社会性昆虫学会(札幌)で発表した。トレーサー実験に関しては、単独で飼育したシロアリが空中窒素を利用できないことを示す飼育実験の準備をしている他、窒素固定速度に影響する要因が複数あることより、安定した結果が得られるよう、実験条件の調整も進めている。 シロアリのリゾチーム遺伝子に関する研究も進行中である。その成果の一部は今年度Insect Biochemistry and Molecular Biologyにおいて発表した。ヤマトシロアリのリゾチーム遺伝子のシークエンスを決定した結果、過去に報告のないユニークな特徴が発見された。また、これらのリゾチーム遺伝子が唾液腺で特異的に発現していることを示した。これらの結果を日本動物学会大会で報告した。現在は配列決定したシロアリリゾチームのcDNAをin vitroの系で発現させたタンパク質を用いて、リゾチーム活性の有無や分子量を調べる実験を進めている。 リゾチーム遣伝子の研究は現在ヤマトシロアリ一種でのみしか行われていないが、土壌食のシロアリやキノコを栽培するシロアリのリゾチーム遺伝子の解析を行うためのサンプルを採集した。今後これらの遣伝子の解析を進める予定である。 このほか、昆虫等の無脊椎動物がリゾチームを利用してバクテリアを節食することに関してのレビューを執筆し、現在国際誌に投稿中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ai Fujita, M.Toshifumi, I.Shimizu, T.Abe: "Molecular cloning of lysozyme-encoding cDNAs expressed in the salivary gland of a wood-feeding termite, Reticulitermes speratus"Insect Biochemistry and Molecular Biology. 32. 1615-1624 (2002)
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[Publications] A.Fujita, Isamu Shimizu, Takuya Abe: "The role of Lysozymes in nitrogen Metabolism of termite"Zoological Science. 19. 1482 (2002)