2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01706
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 愛 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロアリ / リゾチーム / 窒素 / 消化 / 土壌食 / アンモニア / プロテアーゼ |
Research Abstract |
土壌食シロアリのみから成るCubitermes属のシロアリを材料に用いて窒素の無機化に関する実験を行った。食物である土壌とシロアリの排泄物中で炭素と窒素の量を比較したところ、シロアリの摂食によりフルボ酸中の炭素がシロアリに消化されること、フミン酸中の窒素が減少し、低分子のフルボ酸中の窒素が増加することが分かった。 土壌食のシロアリの消化管はたくさんの部屋に分かれており、それぞれの部分に含まれるアンモニアの量を測定した。その結果、食物が消化管のより後の部分に移動するにつれて、アンモニアの量が増加することが分かった。また、土壌食のシロアリの消化管の一部が強アルカリ性であると報告されているが、土壌やシロアリの排泄物中にはアルカリ条件で可溶となるタンパク質が多く含まれていることを示すデータが得られた。また、中腸でタンパク質分解酵素の活性が最大となることが分かった。さらに、液体クロマトグラフィーによる、消化管中のアミノ酸分析を行い、消化管の各部分に存在する遊離アミノ酸の種類と量を決定した。これらの結果から、土壌食のシロアリにとって窒素を含む化合物が栄養源として重要であることが示された。 消化管に共生するバクテリアの機能を調べるために、アガロースに埋めた消化管に微量の放射性同位体標識した糖やアミノ酸を注射し、その物質が何に代謝されるかを調べるマイクロインジェクションという実験を行った。 P1,P3、P4と呼ばれる後腸の各部分に400pmol前後の放射性グルコースを注射すると、約200pmol/hの速度で消費され、その多くは酢酸に転換されることが分かった。P3,およびP4部分ではグルコースの消費速度は700pmol/h前後で酢酸のほかにエタノールの生成が見られた。放射性のグルタミン酸およびアラニンを用いた同様の実験の結果からは、主にP3部分でアミノ酸が吸収されること、吸収速度はアミノ酸によって異なることを示す結果が得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamada, A., Fujita, A.et al.: "Abundance and biomass of termites (Insecta : Isoptera) in dead wood in a dry evergreen forest in Thailand."Sociobiology. 42(3). 569-585 (2003)
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[Publications] Fujita, A.: "Lysozymes in insects : What role do they play in nitrogen metabolism?"Physiological Entomology. (印刷中).