2002 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱菌のDNAリガーゼと本酵素が関与するDNA複製・修復機構に関する研究
Project/Area Number |
02J01714
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中谷 勝 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNAリガーゼ / 耐熱性 / ATP依存型 / 超好熱菌 / Archaea / DNA基質 |
Research Abstract |
超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1由来の耐熱性DNA ligaseに着目し、本酵素の高温下での触媒機構や遺伝子組換え技術への応用を目的として、その生化学的特徴の解析を行っている。 平成13年度までに、KOD1株のDNA ligase遺伝子を取得し、これをもとに組換えタンパク質(Tk-Lig)を得た。その生化学的な解析から、本酵素が従来のDNA ligaseの反応メカニズム(基質との結合過程・基質認識機構)では想定されていなかった興味深い特性を有することを見いだした。まず、本酵素はDNAの変性温度以上の高温においても活性を示した。また、DNA ligaseの補因子依存性(ATP依存型・NAD依存型)は厳密であると考えられてきたが、本酵素はATP依存型でありながらNADも補因子として利用し得ることが明らかとなった。両方の補因子を利用できるDNA ligaseとしては初めての報告である。 平成14年度では、本酵素が認識することのできるDNA基質の特徴についての解析と、その他の補因子要求性に関する解析を行った。 まず、速度論的解析などから、Tk-LigはssDNAを認識せず、ニックを含むdsDNAを基質として認識していると推測された。DNA基質の詳細な検討から、本酵素は連結部位において「ミスマッチしているDNA」も「オーバーラップしているDNA」も連結できることが確認され、Tk-Ligのユニークな基質認識に関する特徴を明らかにした。補因子要求性について検討したところ、ATP、NAD以外の様々な化合物(dATP、ddATP、AMP)に依存した活性が確認され、本酵素は多様な補因子要求性を有するDNA ligaseであることが示された。特に、反応のエネルギー源となり得ないAMPに依存した活性は、従来の反応メカニズムでは説明の付かない現象であり、現在その反応機構について詳細な解析を行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 中谷 勝, 江崎 聡, 跡見 晴幸, 今中 忠行: "Substrate recognition and fidelity of strand joining by an archaeal DNA ligase"European Journal of Biochemistry. 269. 650-656 (2002)