2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01773
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 美由紀 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リグニン / ラッカーゼ / 免疫標識法 |
Research Abstract |
平成14年度は、リグニン生合成に関与する酵素のうち最終段階であるモノリグノールの脱水素重合に関与するラッカーゼに注目し、その木化中細胞内での局在を調べることを目的に研究を行った。ラッカーゼに特異的に反応する抗体を調製し、免疫標識を行った。 ポプララッカーゼのアミノ酸配列から各12〜15残基、4カ所を選び、その配列に基づいてペプチドを合成した。これらをヘモシアニンと結合し抗原としてマウスに投与した。得られた抗血清を精製して、抗ペプチド抗体(抗lac抗体)を得た。ポプラ分化中組織から、可溶性画分、マイクロソーム画分、細胞壁イオン結合性画分、の3つのフラクションの抽出液を調製し、ウエスタンブロッティングを行ったところ、抗体は細胞壁イオン結合性画分に含まれる100kDaのタンパク質に反応した。これはこれまでに報告されているラッカーゼの分子量と一致する。さらに、免疫沈降法により抗体を反応させたところ、抗lac抗体がこのイオン結合性画分中のラッカーゼ活性を抑制し、この抗体がラッカーゼに反応することが明らかとなった。 免疫標識には、ポプラシュートから採取した分化中木部試料を高圧凍結・凍結置換法で固定して使用した。ラッカーゼの標識は分化中木部の二次壁形成中組織に見られた。また放射柔細胞に強い標識が観察された。さらに詳細に観察したところ、木繊維の細胞壁、特にコーナー部二次壁最外層と複合細胞間層がよく標識されていた。また放射柔細胞では壁最内層、プロテクティブレイヤーと呼ばれる層が強く標識された。以上の結果から、ラッカーゼは二次壁形成の比較的後期に現れ、細胞壁の外側部分に局在していると考えられる。また放射柔細胞に見られた標識から、このラッカーゼが通常のリグニン合成だけでなく細胞の防御反応などに関与している可能性が示唆された。
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