2003 Fiscal Year Annual Research Report
側底膜型ペプチドトランスポータの遺伝子クローニングと薬物動態制御における役割解明
Project/Area Number |
02J01796
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 めぐみ 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 消化管吸収 / ペプチドトランスポータ / 側底膜 / シミュレーション / 機能特性 / 経細胞輸送 / クローニング |
Research Abstract |
小腸上皮細胞の側底膜には、刷子縁膜に局在するH^+駆動型ペプチドトランスポータ(PEPT1)とは異なるペプチドトランスポータが発現し、PEPT1とともにジ・トリペプチドやペプチド類似薬物の消化管吸収を媒介している。本研究では、側底膜型ペプチドトランスポータの遺伝子クローニングのための基礎的情報の収集、並びに薬物動態学的役割を解明することを目的として、側底膜型ペプチドトランスポータの排出方向における機能特性を精査した。さらに、Caco-2細胞におけるグリシルザルコシン(Gly-Sar)経細胞輸送のシミュレータ構築を試みた。 側底膜型ペプチドトランスポータを介したGly-Sar排出は、取り込み方向と同様に顕著なpH依存性を示さなかった。基質認識特性及び親和性を調べるため、種々条件下でのGly-Sarの経細胞輸送を速度論的に解析し、得られたパラメータを比較解析した。その結果、側底膜型ペプチドトランスポータは取り込み、排出方向ともにPEPT1の基質であるセフチブテンをほとんど認識しなかった。一方、排出方向におけるKm値は取り込み方向よりも大きかった。従って、側底膜型ペプチドトランスポータのpH依存性及び基質認識特性は輸送方向によらず類似しているものの、基質親和性は排出方向の方が低いことが判明した。 上記の検討で得られた両ペプチドトランスポータの速度論パラメータを用いて、Caco-2細胞を介したGly-Sar輸送のシミュレータを構築した。任意のGly-Sar濃度に対し、細胞内蓄積量並びに経細胞輸送量の時間変化をシミュレートしたところ、実験値とよく対応していた。従って、本シミュレータはペプチドトランスポータを介したGly-Sar輸送を定量的に再現できるものであり、小腸上皮細胞を介したペプチド類似薬物輸送の予測をin silicoで行うことが可能になると考えられる。
|
Research Products
(1 results)