2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコン結晶を用いたウラン・トリウム・ヘリウム放射年代測定法
Project/Area Number |
02J01807
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 国見 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウラントリウムヘリウム法 / 南部フォッサマグナ / 放射年代学 / 熱年代学 / 丹沢 / 冷却履歴解析 |
Research Abstract |
昨年度測定した丹沢トーナル岩複合岩体のウラン・トリウム・ヘリウム年代の継続的な測定を行うとともに、ウラン・トリウム・ヘリウム年代と比較研究を行う為、同岩体のフィッショントラック法、アルゴンアルゴン法による年代測定を進めた。同岩体は第三紀以降水平・垂直方向に急激な変動を被った南部フォッサマグナ地域に産出する最大の深成岩体であり、低温熱年代学的手法としてのウラン・トリウム・ヘリウム放射年代測定法の長所を最大に生かすことの出来る研究対象の一つである。研究の結果、同岩体を対象に当時行われたカリウムアルゴン法を始めとする放射年代測定法に比べて遥かに精度・確度ともに高いと期待できるウラン・トリウム・ヘリウム年代を得ることが出来た。同岩体はより若いとは言いがたい面があるけれども、この結果から、本研究の目的の一つであったジルコンを用いた際の精度の高さがはっきりと明らかになった。また、閉鎖温度が比較的低いことから、野外調査から予測された局所的な加熱イベントを検出することにも成功した。 ウラン・トリウム・ヘリウム年代値と、それ以外の放射年代値とを組み合わせた同岩体の冷却履歴解析の結果、同岩体の冷却履歴は従来考えられていた第四紀における急激な冷却の可能性を否定し、逆に第四紀の冷却はそれ以前に比べて緩やかであったことを示唆する。このことは南部フォッサマグナ地域の最近の変動を理解する重要な鍵となるであろう。
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