2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01819
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 卓司 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 破壊伝播速度 / 微小地震 / 南アフリカ金鉱山 / 破壊エネルギー / 地震波放射エネルギー / 地震モーメント / 応力降下量 |
Research Abstract |
1.はじめに 微小地震の解析は、大地震のdynamicsとの相違の有無を明らかにする上で非常に重要である。しかし、微小地震の震源過程を明らかにするためには、至近距離・高サンプリングデータが必要となるため、一般的には困難である。 南アフリカMponeng鉱山(旧称Western Deep Levels南鉱山)の地下2,650mには、3成分加速度計9台が金鉱脈下約50mの運搬坑道沿いのボアホール内に設置されており、採掘に伴って切羽の前面に発生する多数の微小地震を至近距離で観測している。1996年2-10月の間に、25,000以上のイベント(M-2.7〜M3.3)が約15kHzという高いサンプリングレートで観測された。これらのイベントの中には震源距離が数十〜数百mのイベントが多数含まれているため、微小地震の震源過程解析に適している。本研究では特に、地震破壊の開始・停止過程や地震波放射効率を推定する上で重要となる破壊伝播速度に注目し、震源距離が150m以内のイベントのうち規模の大きな5イベント(M0.8〜M1.4)について、kinematic波形インバージョンを行った。 2.解析手法および結果 まず、P,S波の到達時刻を用いてP,S波速度を求めたところ、それぞれ6.00km/s,3.83km/sと求められた。次に、これらの値を用いて、P,SV,SH波の振幅を用いて決定したメカニズム解の2節面両方に関して、破壊伝播速度を変えてマルチタイムウィンドウによる波形インバージョンを行った。節面に関しては、解析した5イベントのうち4イベントに関して残差に明瞭な差がみられ、断層面と補助面を区別することができた。一方、破壊伝播速度に関しては、波形インバージョンでは一般に、破壊伝播速度が速いほど残差が小さくなると考えられるため、明快には決定できないが、観測波形に特徴的な形状を説明できるかどうかによって少なくともS波速度の55%以上であると判定できる。したがって、南アフリカ金鉱山内の微小地震の破壊伝播速度は、大規模自然地震のそれと比べて非常に遅いということはなく、ほぼ同程度であると考えられる。 また、これら5イベントに関して地震波放射エネルギーを計算したところ、見かけ応力、すなわち、放射エネルギーと地震モーメントの比は、中・大規模自然地震に比べてほぼ同じであった。 3.考察 地震波放射効率は、破壊伝播速度の函数として記述でき(cf. Husseini and Randall (1976),Kanamori and Heaton(2000))、破壊伝播速度が速いほど放射効率が大きくなる。本研究の結果から、南アフリカ金鉱山内での微小地震の地震波放射効率は、中・大規模自然地震のそれと同程度であると考えられる。 また、見かけ応力が中・大規模自然地震のそれとほぼ同じであったこともあわせて考えると、地震時の応力のOvershoot, undershootがないと仮定すれば、南アフリカ金鉱山内の微小地震の応力降下量も、中・大規模自然地震のそれと同程度であると考えられる。
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