2002 Fiscal Year Annual Research Report
腸管ポリープ形成におけるアラキドン酸代謝経路の役割の解析
Project/Area Number |
02J01831
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
園下 将大 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Cyclooxygenase-2 / Colon Cancer / Familial Adenomatous Polyposis / 線維芽細胞 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
当研究室ではこれまで、家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis ; FAP)のモデル動物であるApc^<Δ716>マウスを作出し、これを解析することで腸管ポリープ形成のメカニズムを明らかにしてきた。その過程で、誘導性酵素であるgyclooxygenase-2(COX-2)がポリープ形成に重要な役割を果たすことを突き止めた。COX-2はプロスタグランジン(PG)H_2をPGE_2をはじめとする種々のプロスタノイドへと変換する役割を持つ酵素であり、我々はそれらプロスタノイド内でPGE_2が腫瘍形成を促進することも報告してきた。 正常組織では発現の認められないCOX-2であるが、非常に興味深いことに、Apc^<Δ716>マウスにおいてはCOX-2タンパクが腸管ポリープの管腔側の間質細胞において誘導されていることが明らかになった。COX-2タンパクの酵素活性を阻害するとポリープ形成が抑制されることから、これらCOX-2を発現している細胞が腫瘍治療のターゲットとして注目される。 今年度の実験で我々は、形態学的観察ならびに免疫組織染色法により、これらCOX-2発現細胞の大多数が繊維芽細胞並びに血管内皮細胞であることを明らかにした。更に、FAP患者のポリープでも同様の結果が得られた。対照的に、マクロファージや白血球等の骨髄由来細胞はほとんどCOX-2を発現していなかった。これらの結果より、繊維芽細胞と血管内皮細胞がCOX-2の発現を通して腸管ポリープ形成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masahiro Sonoshita, Kazuaki Takaku, Masanobu Oshima, Ken-ichi Sugihara, Makoto Mark Taketo: "Cyclooxygenase-2 expression in fibroblasts and endothelial cells of intestinal polyps"Cancer Research. 62. 6846-6849 (2002)
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[Publications] Makoto Mark Taketo, Masahiro Sonoshita: "Phospholipase A_2 and apoptosis"Biochimica et Biophysica Acta. 1585. 72-76 (2002)