2003 Fiscal Year Annual Research Report
腸管ポリープ形成におけるアラキドン酸代謝経路の役割の解析
Project/Area Number |
02J01831
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
園下 将大 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Colonic Polyposis / Familial Adenomatous Polyposis / Arachidonic Acid / Prostaglandin / Cyclooxygenase / microsomal PGE_2 synthase / Stromal cell |
Research Abstract |
私はこれまでに、腸ポリープの形成にはシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)により産生されるプロスタグランジンE_2(PGE_2)が極めて重要であることを明らかにした。最近他グループより、PGE_2の産生に膜結合型PGE_2合成酵素(mPGES)が重要であること(Kudoらの研究)、そして誘導型の酵素であるCOX-2のアイソザイムである恒常型のCOX-1も腸管ポリープの形成に重要であること(Langenbachらの研究)が報告された。 当研究で腸ポリープ形成におけるアラキドン酸代謝経路の役割を包括的に理解するためにこれらmPGESとCOX-1の発現に関する解析を行なった結果下記の7点が明らかとなった。 1、家族性大腸ポリープ症(FAP)のモデル動物であるApc^<Δ716>マウスの腸ポリープにおいては、ポリープ管腔側の繊維芽細胞でCOX-2と同様なmPGESの発現誘導が認められるが、対照的にCOX-1の発現量は一定であること 2、1はFAPの腸ポリープでも同様であること 3、COX-1はCOX-2の発現が誘導されていない1mm以下の小さなポリープにおいても繊維芽細胞で発現していること 4、ポリープにおいてはCOX-2発現細胞はほぼ全てCOX-1発現細胞であること 5、mPGES発現細胞もほぼ全てがCOX-1発現細胞であり、一部はCOX-2も発現していること 6、COX-1、Apc両遺伝子欠損マウス、COX-2、Apc両遺伝子欠損マウスではポリープ数の劇的な減少を認めるが(Langenbachら、Oshimaらの研究)、発生するポリープでは各々COX-2、COX-1の発現が認められること これより、1mmまでのポリープが成長する段階ではCOX-1及びmPGESが、1mm以上に成長していく段階ではCOX-1、mPGESに加えてCOX-2がPGE_2供給の点で大変重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Takeda, M.Sonoshita, H.Oshima, K.Sugihara, P.C.Chulada, R.Langenbach, M.Oshima, M.M.Taketo: "Cooperation of Cyclooxygenase 1 and Cyclooxygenase 2 in Intestinal Polyposis."Cancer Research. 63. 4872-4877 (2003)