2002 Fiscal Year Annual Research Report
X線結晶構造解析学的手法を用いたHomer1cによる受容体集積機構の解明
Project/Area Number |
02J01835
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 克雅 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 構造生物学 / シナプス後肥厚部 / 受容体集積機構 / 足場タンパク質 |
Research Abstract |
シナプス後部には,後シナプス肥厚部(PSD)と呼ばれシナプス伝達に関わる多くの機能分子が集積している領域が存在している。PSD-Zip45(Homer-1c)はPSDに局在するタンパク質の一つであり代謝型グルタミン酸受容体やIP3受容体などのPSDに局在するタンパク質のクラスター形成に関与しているタンパク質である。本研究の目的はPSDにおけるPSD-Zip45による膜タンパク質の局在・集積化機構を立体構造に基づいて明らかにすることである。 これまでに、Homer1ファミリー保存領域(CRH1:Conserved Region of the Homer 1 families)の結晶化を行い1.8Å分解能で構造を決定した。この領域は結合相手への結合領域であるEVH1ドメインを含んでいる。この構造解析の結果からCRH1のループ領域のSPLTP配列がEVH1ドメインに結合していた。このことから結合相手に結合することで自己重合を開始するという制御機構の存在が示唆された。 そこで今回、この領域の水溶液中での挙動を調べるために、X線小角散乱により水溶液中でのこの領域の形状を測定した。その結果、分子の最大長が80Å程度であり分子のRcが9Å程度であることがわかった。この形状はCRH1のループ領域が自由に運動しているときの単量体の大きさによく一致する。これは、結晶格子中で観察されたEVH1ドメインとSPLTP配列の相互作用が水溶液中では起きていないことを示している。 そこで次に、PSD-Zip45の結合相手の一つであるIP3受容体(IP3R)と複合体の三次元構造解析を開始した。IP3Rはイオノトロピックな受容体であり活性化されるとセカンドメッセンジャーとしても重要なCa^<++>イオンを放出する。また、非常に大きなタンパク質であるため、電子顕微鏡を用いた単粒子解析をおこなうこともできる。以上の理由から結合相手にIP3Rを選び、現在精製条件を検討中である。
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