2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01837
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 美那子 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 根端分裂組織 / 静止中心 / プロテアソーム |
Research Abstract |
シロイヌナズナのhalted root (hlr)突然変異体を用いて、根端分裂組織の維持機構を解析している。根端分裂組織に特徴的な細胞群である静止中心に対する分子マーカーを用い、胚発生過程と後胚発生過程における静止中心の性質を判定したところ、hlr突然変異体では胚発生過程に静止中心が形成されるものの、発芽直後から正常な静止中心が失われていることが判明した。 また、hlr突然変異体は発芽後の茎頂分裂組織の構造にも異常を示したので、茎頂分裂組織特徴的な細胞群である形成中心に対する分子マーカー(WUSCHEL遺伝子)の発現を解析したところ、hlr突然変異体では正常な形成中心が維持されないことが判明した。 遺伝子同定の結果、HLR遺伝子はタンパク質分解に関わるプロテアソームのサブユニットをコードしていることが判明した。また、In situ RNA hybridization法を用いてHLR遺伝子の発現パターンを解析したところ、HLR遺伝子は静止中心を含む根端分裂組織や形成中心を含む茎頂分裂組織で強く発現していることが明らかになった。 また、分解能のマーカーとしてAux/IAAタンパク質群の分解活性を判定したところ、hlr突然変異体の根端分裂組織ではタンパク質分解活性が低下していることが示唆された。しかし、様々な分解マーカーや免疫組織化学的手法を用いた解析からは、細胞周期進行に関わるサイクリンや、植物ホルモンであるオーキシンの輸送に関わる膜タンパク質は、hlr突然変異体においても正常に分解されていることが示唆された。 以上の結果から、HLR遺伝子は正常なプロテアソーム活性に必要であるが、全てのタンパク質分解に必須ではないことが示唆された。このことから、HLR蛋白質を含むプロテアソームが特異的なタンパク質分解を介して、発芽直後からの静止中心の維持に不可欠な役割を果たしているのではないかと考えられる。 以上の結果をまとめた論文を投稿し、受理された。
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Research Products
(1 results)