2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01837
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 美那子 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 根端分裂組織 / 静止中心 / プロテアソーム |
Research Abstract |
シロイヌナズナのhalted root (hlr)突然変異体を用いて、根端分裂組織の維持機構について研究した。根端分裂組織に特徴的な細胞群である静止中心に対する分子マーカーを用い、胚発生過程と後胚発生過程(発芽後)における静止中心の性質を判定したところ、hlr突然変異体では胚発生過程に静止中心が形成されるものの、発芽直後から正常な静止中心が失われることが判明した。また、発芽後のhlr突然変異体の根端では細胞分裂パターンが異常になっていた。そこで、根端分裂組織の維持においてHLR遺伝子を必要とする組織を特定するために、静止中心を含む組織と含まない組織でHLR遺伝子を発現させた。その結果、静止中心を含む組織で発現させた場合にのみ、静止中心や細胞分裂パターンの異常が相補されることが明らかになった。HLR遺伝子はタンパク質分解に関わるプロテアソームのサブユニットをコードすることから、発芽後の根端分裂組織における静止中心の維持と細胞分裂パターンの制御には、静止中心におけるタンパク質分解制御が重要であることが示された。 また、本研究では、シロイヌナズナに一つ存在したHLR遺伝子の相同遺伝子であるHLR-LIKE PROTEIN (HLP)遺伝子についても同様の解析をおこない、HLR遺伝子とHLP遺伝子が高等植物の発生に果たす役割の差異についても研究した。HLP遺伝子を欠損した突然変異体の単離とその表現型解析、および両遺伝子の発現解析と機能解析をおこなった結果、HLR遺伝子とHLP遺伝子はともに植物の発生に寄与するが、発芽後の根端分裂組織の維持においては、HLP遺伝子ではなくHLR遺伝子が必須であることを明らかにした。現在は、この成果をまとめた論文を執筆中である。
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Research Products
(3 results)