2003 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ突然変異体を用いた雌雄間の相互作用と生殖隔離機構の解析
Project/Area Number |
02J01840
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金岡 雅浩 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 花粉柱頭間接着 / カロース / 花粉管ガイダンス / ライブイメージング / セリンプロテアーゼ / Rhomboid |
Research Abstract |
シロイヌナズナの突然変異体や形質転換植物を用いて、有性生殖過程で働く雌雄細胞間の相互作用について解析を進めている。 (1)花粉表面の模様に異常の見られるkompeito (kom)突然変異体について、その表現型や原因遺伝子の同定、原因遺伝子の発現などについてまとめた論文を執筆中である。 (2)KOM遺伝子と相互作用する遺伝子を調べるため、kom突然変異体をEMS処理して表現型が回復する植物を探索した。その結果、表現型を回復する突然変異体が3ライン得られた。これらの突然変異体の原因遺伝子を決定すべく、マッピングを行っている。また、kom突然変異体とよく似た表現型を示すlap1突然変異体の原因遺伝子についてkom突然変異体の中でその遺伝子の発現が変化していないか調べたが、LAP1遺伝子の発現に変化は見られなかった。現在はKOMとLAP1のタンパク質レベルでの相互作用を検討中である。 (3)KOMのショウジョウバエホモログであるRhomboidはプロテアーゼであるが、KOMやその他のシロイヌナズナRhomboidホモログがプロテアーゼ活性をもつか、ほ乳類の培養細胞の系を用いて検討した。その結果、1つのシロイヌナズナRhomboidホモログがプロテアーゼ活性を示した。これは、植物にもRhomboidタイプのプロテアーゼが存在することの初めての証拠である。この結果は現在論文として執筆中である。 (4)花粉管は雌しべの内部を伸長して胚珠内の雌性配偶体に到達するため、その動きをリアルタイムで観察する方法は今までなかった。2光子励起レーザー顕微鏡を用いて観察を行ったととろ、普通の共焦点レーザー顕微鏡では観察できなかった雌しべの内部が観察できるようになった。その結果、花粉管の伸長速度は3μm/minであることがわかるなど、めしべ内部での花粉管の動きについて新たな知見が得られつつある。
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