2004 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いた突然変異生成機構の分子遺伝子学的解析
Project/Area Number |
02J01842
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨田 純也 京都大学, 放射線生物研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ショウジョウバエ / DNA損傷 / DNAポリメラーゼ / 突然変異生成 |
Research Abstract |
DNA損傷部位を乗り越えてDNA複製を行うTLS DNAポリメラーゼが知られている。TLS DNAポリメラーゼの一部は、一次構造上の類似モチーフの存在からYファミリーと分類される。ショウジョウバエのYファミリーに属する遺伝子としてdRad30A,dRad30B,dRev1が存在する。我々はこれらの遺伝子をクローニングし、この酵素についての解析を分子レベル、個体レベルで行ってきた。個体レベルでの解析は、高発現又はRNAiによる発現抑制のトランスジェニック個体を作成する事により行っているが、これらの個体においてmRNAの発現は制御可能であるがタンパクレベルでの発現制御は必ずしも上手くいかない事が解ってきた。つまり、RNAiコンストラクト高発現個体ではRNAiによるタンパクレベルでの発現抑制が効率よく起こっていないこと、また高発現トランスジェニック個体においては、RNAレベルでの発現は野性株に比べ大きく増加しているにもかかわらず、タンパクレベルでは変化していないこと、等が明らかになってきた。後者については、ショウジョウバエ培養細胞においても再現された。これらの結果はTLS DNAポリメラーゼ遺伝子のタンパクレベルでの発現を一定レベルにするような、何らかのメカニズムが存在していることを示唆している。そのメカニズムとして1)翻訳レベルの制御2)ポスト翻訳後の修飾による制御、の2つの可能性が考えられた。前者については、5'UTRおよび3'UTRの解析を行ったが、翻訳レベルでの制御に関与している領域は見いだすことができなかった。そこで、後者の可能性をdeletion mutantにより検証したところ、タンパク安定性に関わる配列を同定することができた。MG132によりこの様な現象は抑えられることから、ユビキチン-プロテアソーム系のタンパクレベル制御系が関与している事が示唆された。
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