2003 Fiscal Year Annual Research Report
小脳顆粒細胞の分化と特異性獲得に関与する分子機構の解明
Project/Area Number |
02J01843
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 祥子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 神経発生学 / 小脳 / 小脳顆粒細胞 / 特異性 / 突然変異マウス / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
shoは運動失調と小脳形成不全などの表現型を示す常染色体劣性遺伝性の突然変異マウスで、我々のグループでtransgenic mouseの作製中に偶然得られた、おそらく挿入突然変異と思われるマウスである。adultのshoマウスでは小脳核は存在するが小脳皮質はほとんど形成されず、さらに小脳皮質に投射する橋核や下オリーブ核も無いこと、また発生段階ごとの解析により橋核や下オリーブ核、小脳顆粒細胞は発生してくるが発生途上で脱落することがHE染色などによって明らかになった。一方、プルキンエ細胞のマーカーであるcalbindinを発現する細胞は小脳原基領域には発生してこないことが免疫染色からわかった。面白いことにshoマウスでは本来プルキンエ細胞が存在する場所にcalbindin陰性だがニューロンのマーカーであるβIII tubulinやMAP2を発現している細胞が存在していた。この細胞群は小脳核のマーカーであるcalretininは発現していない。このことはプルキンエ細胞が発生する脳室帯から神経細胞は生み出されるが、それがプルキンエ細胞の形質を獲得していないことを示唆している。以上のことからshoマウスではプルキンエ細胞への分化のステップに異常があるか、またはプルキンエ細胞を生み出す脳室帯に何らかの異常があるという可能性が考えられる。今後はこれらの可能性について検討するため、小脳核やプルキンエ細胞以降に脳室帯から生じるニューロンの有無、脳室帯の分裂能などをマーカー染色やBrdUラベル法等で解析する予定である。 原因遺伝子のクローニングに関しては、連鎖解析で狭めたTgと連鎖する範囲(約2Mbp)内の遺伝子についての発現解析をRT-PCRとin situ hybridization法で行っている。候補遺伝子が絞り込めたらレスキュー実験を行い、原因遺伝子を特定する予定である。
|